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までドウゾ!

最近出した本、「ライカを買う理由」の表紙に初期モデルのライカM2が登場しています。
ブレッソンと沢田の間だにズミクロン50ミリを付けたライカM2がこっちを見ている構図です。
これは、ライカを知らない人なら「単なる古いカメラだな、、」であり、ライカを少しは知っている人なら「ほう、ライカM2か、、、」であり、ライカM型を知っている人なら「初期モデルのM2だな、、、」であり、ライカM2にかなり詳しい人なら「初期モデルのM2だけど、一番初期モデルではないな、、、」という事実が認識できる筈です。

こういう細かいデテイルへの執着というのは、その道以外の人には何の興味もないことでしょうが、一方でそのライカ道が深くなってくると、そういう些細なデテイルの違いにお金を出して、それを惜しいと思わないようになります。
この本の表紙に登場のM2は製造番号が926120番というもので、1957年の登場です。

公式にはライカM2は1958年からということになっていますが、その理由は大量生産で1万台を越える個体が生産されたことにあります。
その前の年、1957年生産のライカM2は、その生産台数がたった200台なのですから、これは試作機と言っても良いかも知れません。
M2のロットは番号表では926001番から始まっていますので、この個体、926120は200台のうちの120番目というわけです。

この最初期のモデルがその後の量産モデルと異なるのは、外見はあまり変わりませんが、浅草の早田カメラ修理名人の話では、何でもシャッターのブレーキが M3と同様に2個付いているので、その後のM2の一個しかないのに比べて優れているとのことで、私のようなカメラの内部に音痴な人間には何のことか分かり ませんけど、早田名人の口からそのような事実が語られると、目の前のM2がなにか光輝くような感じがしました。

外見上の違いはあまりないと書きましたが、無論、ボタン式の巻き戻し切り替えとか、採光の窓のギザが外側ではなく内側を向いているとか、そういうM2初期モデルの特徴はあります。
操作上で面白いのは、まずフィルムカウンターのデイスクにノッチがついていないので、カウンターをリセットするときに、クラッチの音がしないこと。
さらに巻き戻しボタンにロックがないので、巻き戻しの間じゅうボタンを押していなければならない点です。
さらにこれは最初の20台か30台だけであろうと言われているのですが、それらの個体には、巻き戻しボタンの周囲にガードが付いていません。

私の所有のライカM2は、昨年の春に新宿のカメラ店で購入しました。レンズは同時代のズミクロン50ミリF2で、これは多分アメリカ人が使用したのでしょうか、特有のレンズの拭きき傷があるので、シャッターとかファインダーのオーバーホールと一緒に修理を依頼して、完璧な状態になって戻って来ました。
皮ケースに入った初期のライカM2を使って見ると、当時のライカM3の普及機という印象ではなく、ライカM3の道の先を模索する新ライカMモデルという印象が強く感じられます。

実際、M2の登場で、その基本的なレイアウトは営々と40数年後のライカM7にまで引き継がれているわけで、その意味でもライカM2は「ライカMモデルの温故知新」です。
「ライカを買う理由」の読者さんで、その影響を受けてライカM2を新規に購入したというメールをもらったりするのも嬉しいことです。

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