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ライカに始まりライカに終わる · 連載コラム(市川泰憲)

第二十九回「フォクトレンダー・スーパーワイドへリアー15mmF4.5 III」

コーナー名
ライカに始まりライカに終わる
著者
市川泰憲(写真技術研究家、日本カメラ博物館)
対象機材・テーマ
フォクトレンダー・スーパーワイドへリアー15mmF4.5 III
概要・導入
このスーパーワイドへリアー15mmF4.5の初代は1999年の発売で、当時それまではライカ用の超広角レンズとしてはツァイスのホロゴン15mmF8が良く知られていましたが、すでに販売中止だったこと、しかも中古でも価格が100万円近くして大変高価だったことです。それでもマニアには人気だったのは、15mmという超広角でディストーションがほとんどないことや生産本数がわずか400本と極めて少ないことなどが魅力だったのです。 そこにコシナからフォクトレンダーブランドで登場したのが「スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical」です。このスーパーワイドへリアーは、F4.5と大口径で、 ホロゴ…

1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

【写真1】 左)スーパーワイドへリアー15mmF4.5 I型と右)スーパーワイドへリアー15mmF4.5 III型。(画像をクリックすると大きくして見られます)
【図1】スーパーワイドへリアー15mmF4.5 I型とIII型のレンズ構成。(画像をクリックすると大きくして見られます)
【写真2】 ソニーα7Rに装着されたスーパーワイドへリアー15mmF4.5 I型とライカM(Typ240)に装着されたスーパーワイドへリアー15mmF4.5 III型。(画像をクリックすると大きくして見られます)

このスーパーワイドへリアー15mmF4.5の初代は1999年の発売で、当時それまではライカ用の超広角レンズとしてはツァイスのホロゴン15mmF8が良く知られていましたが、すでに販売中止だったこと、しかも中古でも価格が100万円近くして大変高価だったことです。それでもマニアには人気だったのは、15mmという超広角でディストーションがほとんどないことや生産本数がわずか400本と極めて少ないことなどが魅力だったのです。
そこにコシナからフォクトレンダーブランドで登場したのが「スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical」です。このスーパーワイドへリアーは、F4.5と大口径で、 ホロゴンのように画像周辺と中心の濃度差のバランスをとるセンターフィルターを使わなくても周辺光量の低下が少なく、ホロゴン同様にディストーションも少なく、とにかくよく写り、安価だったのです。たちまち人気商品となり、当初はライカスクリューマウントでしたが、その後、光学系はそのままで距離計連動のMマウント互換のVMマウントのII型となり、さらにフルサイズデジタル対応の光学系へと一新され、このたびのIII型となったのです。
そこで「III型」はフルサイズのデジタル対応になったとされていますが、同じフルサイズでも「I型」(以下簡略のためにこのように呼びます)とは、何が違うのでしょうか。まず【写真1】には「スーパーワイドへリアー15mmF4.5 I型」と「スーパーワイドへリアー15mmF4.5 III型」とをお見せします。ここでおわかりいただけるのは、III型になりレンズの外観がひとまわり大きくなったことです。これは「III型」では、デジタル向けに十分にレンズを大きくしてフルサイズの画面周辺までパワーを持たせた結果とされています。レンズ構成はI型・II型が6群8枚でしたが、III型では9群11枚となっています。非球面レンズは後群に1枚ずつ配置されているのは新旧とも同じです【図1】。

●デジタル化で浮上した問題点

「スーパーワイドへリアー15mmF4.5 I型」はフィルムカメラの時代にはどうであったかというと、実は周辺光量の低下はわずかにあっても、視覚的には十分に許容できる範囲でした。ところがデジタルになり、それもフルサイズ時代になり問題点が浮上したのです。ライカで最初のデジタル機は2006年発売の“ライカM8”でした。この時の撮像素子の大きさは18×27mmで、APS-Hと呼べる1.33倍の倍率がかかるライカ判フルサイズの24×36mmには満たないものでした。2009年にはフルサイズの“ライカM9”が登場した時にいくつかの問題点が明確になりました。その1つは一部の広角レンズでは周辺光量が低下し、その周辺が濃いマゼンタに色付くのでした。もっともこのような問題はフルサイズの時代に突然発生したことではなく、APS-C判ライカマウントのデジタル機で先行していたエプソンRD-1やライカM8でも対称型の光学系を採用した広角レンズでは、場合によっては発生していた現象なのです。
実際どのような問題なのでしょう。【写真2】にはライカMとソニーα7Rにそれぞれのレンズを装着しました。ボディとレンズの組み合わせに他意はなく、ボディが大きいライカMに「III型」を、小さいボディのソニーα7Rに「I型」を取り付けてみました。ここは、ボディに付いたレンズ外観を単に見ていただこうということです。そして【作例1a】には“ライカM(Typ240)”にスーパーワイドヘリアー15mmF4.5のI型を、【作例1b】には同じ“ライカM”にスーパーワイドヘリアー15mmF4.5のIII型を取り付けて、いつもの英国大使館の正面玄関を撮影してみました。

【作例1a:スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical I+ライカM(Typ240)】 絞り優先AE(F5.6・1/1500秒)、ISO200、AWB。旧タイプのレンズです。画面の左右端の周辺光量の低下が目につき、赤く偏色しています。周辺光量の低下はレタッチソフトで直すことはできますが、赤く偏色した部分の修正は簡単にはいかないのです。このようなことが起きるため、ライカマウントの古い広角レンズを使うことができなくなった人も多いのではないでしょうか。もちろん、周辺光量の低下は気にならないという人は、発色を無視してモノクロームモードにして使えば良いことですが、どうでしょうか。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例1b:スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】 絞り優先AE(F5.6・1/1500秒)、ISO200、AWB。新タイプのレンズです。旧タイプでは、画面の左右端の周辺光量の低下が目につき、マゼンタに偏色していたのが、みごとに解消しています。フォーカスポイントは画面中央建物上部のエンブレムですが、この部分を拡大して見てみると解像度もわずかですが増していることがわかります。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

同じように“ソニーα7R”にマウントアダプターを介してスーパーワイドヘリアー15mmF4.5のI型とIII型を取り付けて撮影した結果が【作例2aと作例2b】なのです。この結果から見ると明らかにIII型のレンズは十分に対策されていることがお分りいただけると思います。

【作例2a:スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical I+ソニーα7R】 絞り優先AE(F5.6・1/1000秒)、ISO100、AWB。旧タイプのレンズです。ライカMに比べると、周辺光量の低下、マゼンタ色への偏色も多いように感じますが、ライカとソニーではこのシーンでの露出レベルは、ライカがプラス側に、ソニーがマイナス側に設定されている違いも影響しています。このカットで目につくのは、右側守衛所のわきに立てられた看板の文字が大きく乱れていることです。同じカットを複数枚撮影しているので、少なくともブレやフォーカシングミスでこのような現象になったとは考えにくいのです。ライカMは2400万画素、ソニーα7Rは3600万画素であるので、ライカMではここまで大きな変化は認められないので、高画素タイプとの画素ピッチの違いがこのような結果を導きだしたのでしょうか。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例2b:スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】 絞り優先AE(F5.6・1/800秒)、ISO100、AWB。新タイプのレンズです。新・旧タイプレンズともライカMとの露出レベルの差を感じさせますが、3600万画素という高画素タイプであるために建物のエンブレム、さらに壁などが精細さを増しているのがわかります。特に顕著なのは、右側守衛所わきの立て看板の文字がみごとに解像していることです。新・旧タイプの比較撮影では、絞り値はF5.6と同じで、フォーカスポイントも同じです。高画素タイプでは、光学系の違いが画質にまで影響するのでしょうか、おもしろい現象です。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

そこで1つ気になることがあります。それは、I型のレンズを使った場合にソニーα7Rのほうが周辺光量の低下と色付きが大きいことです。それではソニーα7Rより、ライカMのほうがそのような現象に対して強いのかというと、一概には言い切れないのです。実は画素数と大きな関係があるのです。ライカMの画素数は約2400万画素で、ソニーα7Rは約3600万画素なのです。この画素数の違いが、同じ画面サイズの場合には、周辺光量の低下や色付きに大きな影響を与えるのです。具体的には、画素ピッチ(画素サイズ)の違いがそのような現象に対する影響力大であると考えられています。ソニーのフルサイズミラーレス一眼には、3600万画素のα7Rのほかに、2400万画素のα7II、1200万画素のα7Sがありますが、画素数が少ないほど(画素サイズが大きいほど)周辺光量の低化と色付きの問題は少なくなるとされています【図2】。ここでは問題点発生の大小を具体的に撮影してお見せすることは、今回の目的とするところと異なりますので、いずれの機会に譲ることにしましょう。

【図2】 ライカレンズの使えるフルサイズミラーレス機。(画像をクリックすると大きくして見られます)

ライカMと同じ2400万画素のα7IIを使えば同じようなレベルだったかも知れません。いずれにしてもここでご覧いただきたかったことは、スーパーワイドヘリアー15mmF4.5のIII型は、このような問題に対して十分に対策されたニューモデルだということです。
ところで、このような画像周辺部の劣化はライカMマウントのフルサイズデジタルで問題となるのです。したがって、フルサイズのソニーαシリーズにライカM用マウントアダプターを使って各種広角系のレンズを、装着した場合にもやはり発生するのですが、APS-C判ではあまり目につきませんでした。ところが同じソニーα7シリーズに、マウントアダプターを介して一眼レフ用の広角レンズを取り付けた場合にはこのような現象は目立ちません。これは一眼レフカメラには可動式のメインミラーがあることによりレンズ最後部から撮像面までの距離があるので必然的にフランジバックが長くなるために、むりのない直線性の高い光束が入ることができるのです。ところが距離計連動のライカには一眼レフと異なりミラーがないので、レンズの最後玉がシャッター幕面の直前まで位置しているものもあり、それで24×36mmのフルサイズをカバーする難しさがあるわけです。
では、どのようなライカ用レンズがデジタルのフルサイズで問題になるのだろうかということですが、僕自身の経験からすると広角で焦点距離35mmまではどうにか安全圏ですが、35mmより広角側になるとつらくなります。もっとも同じ28mmでも、レンズデザインが古いか新しいかでも異なります。例えば同じライカの純正でも、“ライカM”でヘクトール28mmF6.3(1935年)は劣化がでますが、ズミクロン28mmF2(2000年)ではでないのです。ズミクロンの28mmは一眼レフの広角レンズと同様設計のレトロフォーカスタイプを採用しているためにレンズ全長は長くなりますが、劣化の少ないレンズとなるのです。このあたりは、それぞれのボディとレンズの組み合わせで決まるわけですが、ライカ用交換レンズとしては広角になればなるほど条件は厳しくなるのです。とはいっても、ライカの交換レンズ史上最も超広角のホロゴンと同じ15mmであるわけですから、その可能性は十分にありました。その結果、フィルムカメラ時代にはほとんど気にならなかった周辺部の劣化が、デジタルでは問題となったのです。もっとも、同じ15mmの焦点距離でもホロゴンは開放F8で周辺光量を補正するセンターフィルターが用意されていましたが、取り付けるとF16となり、スーパーワイドへリアーは開放でF4.5、センターフィルター不要であったわけですから、光学特性としては十分に評価されるのは当然のことといえるでしょう。

2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント

●フォクトレンダー・スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical IIIの写り
【写真3】 スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical IIIを装着したライカM(Typ240)。(画像をクリックすると大きくして見られます)

ずいぶん長々と周辺画像の劣化の要因を書いてきましたが、だからどうなんだ!という声が聞こえてきそうです。実際の写り具合を紹介しましょう。
まずはライカM(Typ240)【写真3】での撮影からです。

【作例3:サクラの花。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】 絞り優先AE(F8・1/1500秒)、ISO400、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例3:サクラの花。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】
絞り優先AE(F8・1/1500秒)、ISO400、AWB。英国大使館正面玄関を撮影した帰りに、ちょうどサクラの開花時期とタイミングがあったので、縦位置で撮影してみました。サクラの木と撮影位置は目視的にはかなり近い感じでしたが、15mm(画角110°)は、意外と距離があるように感じます。もっともっと前に踏み出しての撮影がいいようです。ピントは、ライブビューで手前のサクラの花に合わせました。

【作例4:ウメの花。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】絞り優先AE(F5.6・1/360秒)、ISO400、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例4:ウメの花。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】
絞り優先AE(F5.6・1/360秒)、ISO400、AWB。連動距離計で右側のピンクのウメの花びらにピントを合わせました。レンズ鏡胴の深度目盛りで見ると、絞りF5.6では1.3m位から∞まで被写界深度内に入りますが、手前と奥はボケてる感じがするので、このようなシーンではF11ぐらいまで絞り込んだ方がいいのかも知れません。発色は、作例3のサクラもそうでしたが、ライカらしくしっとりと落ち着いています。

【作例5:野天傘。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】絞り優先AE(F5.6・1/1500秒)、-0.7EV、ISO1600、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例5:野天傘。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】
絞り優先AE(F5.6・1/1500秒)、-0.7EV、ISO1600、AWB。傘の内側の骨の部分にライブビューでピントを合わせました。前作例までは、III型とライカの発色はおとなしいという感じでしたが、同じ発色モードでこのように鮮やかな赤の発色が得られました。画面右上の枝にパープルフリンジの発生が見られます。その原因は、撮像素子、撮影光学系、設定絞り値、被写体のコントラストが高いときなどの要素が組み合わさって発生するので、なるべく晴天の青空を背景にして、絞り込んで撮影すれば、かなりフリンジの発生は軽減されるはずです。ただし、これはあくまでも特別に大きく伸ばした時に目につく問題なのです。

【作例6:木の壁。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】絞り優先AE(F5.6・1/750秒)、ISO400、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例6:木の壁。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】
絞り優先AE(F5.6・1/750秒)、ISO400、AWB。レンズの歪曲を見るために撮影。本来なら三脚を立てて、もう少し下から狙い、水平・垂直をしっかりとだして撮影するべきなのでしょうが、手を抜いた結果が素直に画面に表れていました。ライブビューでのピント合わせ。ディストーションはまったく感じさせません。

【作例7:川越蔵造りの商店街。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】 絞り優先AE(F8・1/125秒)、ISO200、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例7:川越蔵造りの商店街。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】
絞り優先AE(F8・1/125秒)、ISO200、AWB。直線性のよい写りを示してくれました。超広角レンズにありがちなディストーションがきわめて少ないことはおわかりいただけると思います。もし歪曲しているとしたら、雨どいやひさしや屋根が歪んでいることになるのです。

【作例8:川越「時の鐘」。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】 絞り優先AE(F8・1/250秒)、ISO200、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例8:川越「時の鐘」。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ライカM(Typ240)】
絞り優先AE(F8・1/250秒)、ISO200、AWB。15mmという超広角だからといって特別にデフォルメした画像を撮影しないように心がけていましたが、1枚ぐらいデフォルメさせた感じを入れてみようと思ったカットです。いつも、この「時の鐘」は縦位置で撮影することが多いのですが、さすが画角110°の15mmだと楽々横位置で入りました。手前の商店の瓦、時の鐘の木の質感、どちらも緻密に再現されています。

【写真4】スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical IIIを装着したソニーα7R。(画像をクリックすると大きくして見られます)

引き続きソニーα7R【写真4】での撮影結果を紹介しましょう。ライカMとの違いは2400万画素に対し、ソニーα7R は3600万と高画素であることが大きな違いです。

【作例9:都庁中庭。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】 絞り優先AE(F5.6・1/250秒)、+0.3EV、ISO100、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例9:都庁中庭。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】
絞り優先AE(F5.6・1/250秒)、+0.3EV、ISO100、AWB。超広角レンズというと定番の撮影場所です。とはいっても、特別に変わったオブジェが撮れるわけでなく、ごくごく自然に中庭を歩く2人の女性を狙ってみました。十分に深度内に入っていると考えてシャッターを切りましたが、歩いて行く2人をライブビューでピントを合わせで追う間に豆粒のようになってしまいましたが、拡大して見ると手前のタイルの模様、2人の女性は十分に解像しているレンズのシャープさは、おわかりいただけるでしょう。

【作例10:東京国際フォーラム天井。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】 絞り優先AE(F5.6・1/250秒)、+0.3EV、ISO100、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例10:東京国際フォーラムの天井。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】
絞り優先AE(F5.6・1/250秒)、+0.3EV、ISO100、AWB。やはりこちらも超広角レンズというと定番の撮影ポイントです。ここで撮影する人のほとんどは、同じようにガラス張りの天井を狙ってのショットが多く、鉄骨の梁の交差するところを縦位置で狙ってみました。

【作例11:東京国際フォーラムスロープ。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】 絞り優先AE(F5.6・1/60秒)、+0.7EV、ISO1250、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例11:東京国際フォーラムスロープ。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】
絞り優先AE(F5.6・1/60秒)、+0.7EV、ISO1250、AWB。この建物はエレベーターで一気に最上階に上り、緩やかなスロープをゆっくりと歩いて下りるのが楽しいのです。スロープの曲線の向こうに人影がというような雰囲気を狙いましたが、手前の人物が通り過ぎるのを待ってシャッターを切ったつもりが、まだ左端に黒い影として入り込んでしまいました。それだけワイドだということです。

【作例12:フォトグラファーHさん(アーツ千代田 3331にて)。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】 絞り優先AE(F5.6・1/60秒)、+0.7EV、ISO1250、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例12:フォトグラファーHさん(アーツ千代田 3331にて)。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】
絞り優先AE(F5.6・1/60秒)、+0.7EV、ISO1250、AWB。写真展会場にて、作者のHさんに正対して撮影してみました。ディストーションがないので、狭い場所でもこのようにデフォルメなく撮影できるのもこのレンズの特徴です。

【作例13:茅の輪(飯能市竹寺にて)。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】 絞り優先AE(F5.6・1/60秒)、+0.7EV、ISO1250、AWB。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例13:茅の輪(飯能市竹寺にて)。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】
絞り優先AE(F5.6・1/60秒)、+0.7EV、ISO1250、AWB。撮影位置から茅の輪までの距離はさほどないのですが、茅の輪とその向こうに見える石段と寺社の感じはきわめて自然です。ディストーションがないと、遠近感が自然に見えるのです。そしてこれだけ細かく画面配置できるのは、ライブビューで実際の写りこむファインダー像を見ているからです。

●距離計連動のライカとミラーレス機の違い

フォクトレンダー・スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical IIIは距離計連動のレンズなのです。ライカMの場合には内蔵のこの光学式距離計でピントを合わせることに加え、ライブビューでピント合わせすることができます。一方、ソニーα7Rでのピント合わせはライブビューだけとなります。ライカの連動距離計でのピント合わせはかなり軽快に素早く行える特徴がありますが、内蔵光学ファインダーで対応するファインダー視野は焦点距離28mm~135mmの範囲なので、フレーミングは背面液晶ディスプレーか外付けのEVFによって行います。ライブビューでの撮影は、写りこむ画像そのものを見て、しかも10倍とか15倍に拡大して実絞りでピント合わせするので、かなり正確なフレーミングとピント合わせが行えます。

【写真5】ソニーα7シリーズの場合には、EVFが内蔵でアクセサリーシューが別にあるので、外付けの光学ファインダーも取り付けることができます。(画像をクリックすると大きくして見られます)
【写真6】フォクトレンダーVM-Eクローズ・フォーカス・アダプターのヘリコイドを4mm延伸した状態(矢印の部分が4mm延伸)。右の赤いつまみは不用意に延伸しないためのロック。(画像をクリックすると大きくして見られます)

ライカMもソニーα7も、正確なピント合わせということでは、ライブビューでのピント合わせが良いのです。一部、年配のライカ使いの方は、レンズの距離目盛りと被写界深度を利用して目測でピント合わせをする人もいますが、ライカ以外のミラーレス機では機構上のことから十分なピント合わせが行えません。たとえば、目測でピント合わせして撮影した場合と、ライブビューで拡大して合わせて撮影した場合では、撮影後の画像データをモニター上で拡大比較してみると、その違いはおわかりいただけるでしょう。もっとも15mmという焦点距離の深度はかなり広い範囲をカバーするので、目測でもよいかとも思うのですが、デジタルでは必要以上に大きく伸ばすチャンスも多いので、スナップのような撮影を別にすればライブビューでしっかりとピントを合わせたいものです。
それでも、もう少し気楽に撮影できないかとお考えの方は、外付け光学ファインダーの活用もお勧めです。ライカMの場合には、EVFのアクセサリーシューとダブリますので積極的にはお勧めできませんが、ソニーα7シリーズの場合には、EVFが内蔵でアクセサリーシューが別にありますので、【写真5】に示すように、背面液晶・EVF・光学ファインダーと3ウエイのファインダー方式を駆使できます。特に光学ファインダーで覗いたときの視野の明るさは格別です。
もうひとつ、今回ソニーα7Rのマウントアダプターには「フォクトレンダーVM-Eクローズ・フォーカス・アダプター」を使いました。これはスーパーワイドヘリアーレンズの純正だからということだけではなく、このVM-Eクローズ・フォーカス・アダプターにはヘリコイドが組み込まれていて、4mm延伸できるのです【写真6】。この結果、ライカレンズでの接写が可能となるのですが、スーパーワイドヘリアー15mmでは50cmの最短撮影距離が約10cmになるというのです。こう書くと、もっと近づけたらなどと思うかもしれませんが、実際はレンズ最先端より約5cmまでの接写が可能になるので、必要十分なクローズアップ機能です。【作例14】にはVM-Eクローズ・フォーカス・アダプターの延伸0のときと、【作例15】には延伸4mmの場合の写真を示しました。ヘリコイドを4mm伸ばしただけでかなり近づいた撮影ができることをご理解いただけると思います。ライカレンズにマウントアダプターを介して使うミラーレス機ならではの使い方です。

【作例14:最短撮影距離50cmの描写(VM-Eクローズ・フォーカス・アダプターの延伸0)。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】 絞り優先AE(F8・1/60秒)、ISO320、AWB。レンズの基本性能が持つ50cmの近接の描写特性を見るのに、背景が幅広く奥まである場所を探すのに苦労しました。画面中心部のハナダイコンの花の繊毛、葉の感じ、葉脈の描写は素晴らしくシャープです。背景アウトフォーカス部のボケ具合もさすが15mm・F8でも背景はしっかりとボケてます。そのぼけボケ具合はクセがなくムラない柔らかさを感じます。三脚使用。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【作例15: VM-Eクローズ・フォーカス・アダプターを4mm延伸したときの最短撮影距離50cmの描写。スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+ソニーα7R】 絞り優先AE(F8・1/60秒)、ISO800、AWB。これが焦点距離15mm、それも距離計連動ライカ用レンズかと疑うほどアップで撮れています。夕やみ迫るころに撮影したので、少し怪しげな雰囲気が漂っていますが、メシベの描写に見るように大変シャープなので、天候条件を選べば、背景のボケ具合を活かしておもしろい描写が楽しめそうです。三脚使用。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

●終わりに

スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical IIIの良さをさまざまなシーンで確認しましたが、それではいままでのI型とII型はまったく使えないかというと、そうではないのです。最初に記したように、フィルムカメラの時代にはI型とII型もまったく問題なかったわけですから、フィルムカメラで使う限りは旧タイプでよいわけです。またフルサイズのデジタルカメラではつらくても、APS-C判の機種なら問題なく使えるモデルもありますので、試してみるといいと思うのです。

【写真7】リコーGXR+マウントA12にスーパーワイドへリアー15mmF4.5のI型を取り付けた状態。(画像をクリックすると大きくして見られます)

【作例16:スーパーワイドへリアー15mmF4.5 Aspherical III+リコーGXR+マウントA12】絞り優先AE(F5.6・1/1230秒)、ISO200、AWB。リコーGXR+マウントA12はAPS-Cの画面サイズなので、15mmのスーパーワイドヘリアーは22.5mm相当の画角となりますが、これでも十分超広角です。画素数は1200万画素なので、発色も気持ちよく、むりない描写が得られています。(画像をクリックすると画素等倍で見られます)

【写真7】には、ライカM用レンズを付けられる「リコーGXR+マウントA12」の組み合わせにスーパーワイドへリアー15mmF4.5のI型を取り付けて撮影した例を【作例16】に示しました。リコーGXRの小型ボディに、やはり小型のI型はフィットします。APS-Cですから15mmの焦点距離に1.5をかけると22.5mm相当の画角となるのです。この組み合わせはコンパクトでなかなかいけます。ただしこれは、APS-C・1200万画素のリコーGX-Rの場合なわけでして、他の機種とスーパーワイドへリアー15mmF4.5・I型との関係は不明ですので、ご自身でお試しください。
(2015.04)