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ライカに始まりライカに終わる · 連載コラム(市川泰憲)

第二十回「2013年の気になるカメラ」

コーナー名
ライカに始まりライカに終わる
著者
市川泰憲(写真技術研究家、日本カメラ博物館)
対象機材・テーマ
2013年の気になるカメラ
概要・導入
日本カメラ博物館は、2013年の「日本の歴史的カメラ」として10機種を選定し、12月に発表しました。その内訳は、フジフイルムX100S(2月23日発売)、キヤノンEOS 70D(4月19日発売)、ニコン1 AW1(10月10日発売)、ソニーサイバーショットDSC-QX100(10月25日発売)、ソニーサイバーショットDSC-QX10(10月25日発売)、ペンタックスK-3(11月1日発売)、リコー シータ(11月8日発売)、ソニーα7(11月15日発売)、ソニーα7R(11月15日発売)、パナソニックルミックスGM(11月21日発売)となります。 これに対して2013年の本項で「異種全面対決 …

1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

■2013年の気になるカメラ

日本カメラ博物館は、2013年の「日本の歴史的カメラ」として10機種を選定し、12月に発表しました。その内訳は、フジフイルムX100S(2月23日発売)、キヤノンEOS 70D(4月19日発売)、ニコン1 AW1(10月10日発売)、ソニーサイバーショットDSC-QX100(10月25日発売)、ソニーサイバーショットDSC-QX10(10月25日発売)、ペンタックスK-3(11月1日発売)、リコー シータ(11月8日発売)、ソニーα7(11月15日発売)、ソニーα7R(11月15日発売)、パナソニックルミックスGM(11月21日発売)となります。
これに対して2013年の本項で「異種全面対決 ペンタックスQからライカMまで」と題して、僕が気になるカメラを取り上げたのは、ライカM9(2009年09月30日発売)、ライカMモノクローム(2012年8月25日発売)、ライカM(2013年3月20日発売)、ニコンD800E(2012年4月12日発売)、キヤノンEOS KissX7(2013年4月24日発売)、キヤノンEOS M(2012年9月29日発売)、リコーGXR+マウントA12(2011年9月9日発売)、ペンタックスQ( 2011年8月31日発売)、フジフイルムXE-1(2012年11月17日発売)、シグマDP1メリル(2012年9月14日発売)、シグマDP2メリル(2012年7月12日発売)、ソニーサイバーショットDSC-RX1(2012年11月16日発売)、リコーGR(2013年5月24日発売)の11機種でした。これらのほとんどは2013年に限定されていませんし、さらに交換レンズによって細かく分化されています。それというのもなぜか?いうわけですが、このシリーズで、僕がいつもテストチャートとしている英国大使館正面玄関の実データ掲載を重点に置いていたために、その実データをため込んでいたのです。さらに掲載のタイミングもあり、ご覧になっておわかりのように、2013年の後半に発売されたカメラが抜けているのです。改めて“2013年の気になるカメラ”として、「ペンタックスK-3」、「ソニーα7R」、「ニコンDf」の3機種を掲載します。

■Pentax K-3 (写真1、作例1)
写真1 Pentax K-3(クリックすると大きな画像で見られます)
作例1 SMCペンタックスDA35mmF2.8マクロLimited。絞りF5.6・1/320秒、ISO100(クリックすると、画素等倍まで拡大して見られます)

11月1日に発売されたリコーイメージングの「ペンタックスK-3」はカメラスペックとしては地味ですが、僕的には大いに気になる一眼レフカメラなのです。なぜ気になるのかということですが、ペンタックスK-3は、APS-C判で光学ローパスフィルターレスの2,400万画素のCMOSセンサーを採用して、高い解像感を実現させていますが、光学ローパスフィルターを非搭載でも露光中にCMOSセンサーを微小駆動させるという独自な技術で、偽色やモアレを軽減させるというのです。使用にあたっては、メニューの中からローパスセレクターを選択すると、解像感重視の[OFF]、解像感とモアレとのバランスを重視した[TYPE1]、モアレ軽減を重視した[TYPE2]を選べるのです。つまり、ローパスフィルターなし、ローパスフィルター効果弱、ローパスフィルター効果強の3モードをユーザーが任意に選べるというのです。ペンタックスは、2012年10月に光学ローパスフィルター搭載の「K-5II」と光学ローパスフィルター非搭載の「K-5IIs」を発売しています。この2機種は光学ローパスフィルターを物理的に搭載・非搭載で、効果を変えているのですが、「K-3」のローパスレス効果は、1台のボディで撮像素子であるCMOSセンサーを微小駆動させることによって光学ローパスフィルターの効果をもたせられ、その動作もON・OFFできるのです。駆動原理は、ペンタックス独自のボディ内蔵手ぶれ補正機構「SR(Shake Reduction)」手ブレ補正の応用だと考えられます。具体的にはバイヤー配列のRGGBのユニット単位で考えるようですが、1画素を超えない範囲で、物理的に駆動させるというものです。これ以上の原理は、あまりにも難しく専門的ですので、ここまでにします。
【いつもの英国大使館正面玄関:SMCペンタックスDA35mmF2.8マクロLimited】 絞りF5.6・1/400秒、ISO100、AWB、三脚使用。いつもの通り、絞りF5.6に設定し、三脚使用での撮影です。ピントは画面中央建物の上壁面についている紋章に合わせています。撮影はローパスセレクター[OFF]、[TYPE1]、[TYPE2]と各3枚ずつ撮影しましたが、この被写体ではモアレは発生しにくいので、解像感重視の[OFF]のみ掲載しました。なお、APS-C判なので焦点距離35mmのレンズは、35mm判フルサイズに換算すると52.5mm相当の画角となります。また、モアレ効果を確認するために撮影レンズは、解像度の高いマクロを選びました。なお、本機最大の特徴であるローパスセレクターの効果のほどは、十分に確認できていますので、改めて本シリーズの別の回で紹介しましょう。そのほかの機種がすべて35mm判フルサイズですが、全体としての画質は、モニター上でご覧になってもお分かり頂けるよう、必要、十分であるわけですが、APS-C判でありながら、2,400万画素の画質をもつ結果ですから、そこがデジタルのおもしろさというか、フィルムとは異なる点であるわけです。

2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント

■Sony α7R (写真2、作例2)
写真2 Sony α7R(クリックすると大きな画像で見られます)
作例2 ゾナーT* FE35mmF2.8ZA。絞りF5.6・1/320秒、ISO100(クリックすると、画素等倍まで拡大して見られます)

ソニーから、フルサイズのミラーレス機「ソニーα7」と「ソニーα7R」が11月15日に発売になりました。ソニーはもともとAPS-C判のEマウントカメラとしてNEXシリーズを発売していましたが、NEXでなく、フルサイズにして“α”としたところがソニーがいかに力を入れているかということです。
発売後ソニーの関係者に聞いたところによると、レギュラー画素タイプの「α7」を購入した人のほうが多く、高画素タイプ「α7R」の人はきわめて少数だというのです。「α7」は画素数が有効約2,430万画素、「α7R」は有効約3,640万画素と高画素で、解像感を高めるために光学ローパスフィルター効果をもたせていないのです。このほかに連写速度は、α7Rは1.5コマ/秒、α7は2.5コマ/秒ですが、α7では追随性と高速性よい位相差検出方式AFも搭載することで高速なAFを実現しているというのです。一方「α7R」は、従来通りのコントラスト検出AFだというのですが、AF速度を従来比で約35%短縮した新しいAF方式ということです。実際専用のゾナーT* FE35mmF2.8ZA(写真右上)をα7Rに装着して操作してみると、感覚的にはかなり速くなっているのを実感できます。
【いつもの英国大使館正面玄関:ゾナーT* FE35mmF2.8ZA】 絞りF5.6・1/320秒、ISO100、AWB、三脚使用。いつもの通り、絞りF5.6に設定し、三脚使用での撮影です。ピントは画面中央建物の上についている紋章に合わせてあります。この部分の解像感と周辺の壁の質感、立体感などを画素等倍で見てください。すでに、この場所ではさまざまなカメラの実写データを画素等倍見られるようにと本シリーズの「第18回」に掲載してありますので、ご覧下さい。
本機の撮像素子はフルサイズですが、APS-C判のソニーNEX-7との関係や、ライカ判フルサイズで同じ3,600万クラス画素数のニコンD800Eとの関係など、それぞれの記事を見ていただけるとそれぞれの実力傾向がわかります。英国大使館正面玄関の画面全体を見てすぐに気づくのは、車止めの黄色いポールの発色傾向がかなり同じソニーのNEX-7に似ているソニーカラーであることです。そして紋章のシャープさに関しては、高画素であることから、クラス最上位にあることは間違いないでしょう。

■Nikon Df (写真3、作例3)
写真3 Nikon Df(クリックすると大きな画像で見られます)
作例3 Aiニッコール35mmF2。絞り優先AE(F5.6・1/500秒)、ISO100(クリックすると、画素等倍まで拡大して見られます)

11月28日に発売された「ニコンDf」は、ライカ判フルサイズの一眼レフカメラです。Dfは、ニコンD4と同じ有効1,625万画素のCMOSセンサーを使った小型・軽量のボディということですが、同じフルサイズで、やはり小型・軽量を目指した、ソニーα7/α7Rとはその目指すところは違うようです。まず、ソニーα7/α7Rが2,430万画素と3,640万画素と高画素タイプであることです。これはどちらがいいかということになりますが、画素数が多ければ大伸ばしに耐えられ、画素数が少なければ1つの画素単位が大きいので、ノイズも少なく高感度なデータが得られダイナミックレンジの広い画像が得られるというわけです。この画素数の問題は使う目的というか、使う人によってそれぞれで、一概に多ければいいと決めつけられるわけではありません。すでにニコンは、有効画素数3,630万画素のD800とD800Eを発売しているので、D4クラスの機種選択の幅が広がったということになるでしょう。もともとソニーは、マウントアダプターを介して各社の各種オールドレンズを取り付けて楽しむユーザーをも重要視していると考えるのです。一方、ニコンは既存の35mm判ニコン一眼レフユーザーをターゲットにしたところが、まずは大きな違いではないでしょうか。
さて、実写結果を報告しましょう。このDfでは、古いニッコールレンズのうち、Ai対応、非Ai対応のMFレンズにも対応させることができるということですので、ここではあえて35mmF2(1983年ごろ購入)のAi対応のMFレンズを使って、いつもの英国大使館正面玄関を撮影してみました。MFレンズを使うにあたり、セットアップメニュー“レンズ情報手動設定”ができます。これはボディ側で焦点距離、開放F値を9種設定することができ、設定することによりexif情報として焦点距離、絞り値を記録でき、測光と露出の精度を高くできるというのです。ただし周辺光量や歪曲などのレンズ特性の補正を行うためのデータ入力とは違うようです。
【いつもの英国大使館:Aiニッコール35mmF2】 絞り優先AE(F5.6・1/500秒)、ISO100、AWB。この時期の撮影は、天候にも恵まれ青空のもと素晴らしい描写となりました。撮影はなるべく精度を高くするために三脚を立てて、ライブビューでフォーカスエリアを設定し、最大限拡大してピントを合わせました。最新の35mmレンズを使えば、さらに良い結果がでたかもしれませんが、このレンズ個体そのものは、ヘリコイドの回転感覚、描写での解像感もフィルムカメラ時代には多くの人から高い評価を得ていました。久しぶりにストックボックスから引き出しての撮影でしたが、画質的には十分に満足いくものです。建物中央上部紋章を画素等倍にして見ると、高画素3,600万画素相当のソニーα7Rのその部分とは、1,625万画素のDfとは異なり、解像、寸法とも違うのは当然ですが、写真的にはA2相当へ引伸ばしても問題ないのです。撮影時の天候にも左右されるでしょうが、発色に鮮やかさがあり、描写に立体感があるようにも見えます。

■終わりに

ペンタックス、ソニー、ニコンと使って2013年は終了しました。それぞれ各社がもちえる技術をだして、新製品としたところがいままでにない、動きだと思います。これからも同じペースで各社が進んでくれれば、まだまだおもしろいカメラが登場してくる可能性を十分に秘めているのです。ところで、ここで取り上げたカメラのほとんどは一般店にて購入したものです。もちろん1個人ですべてをカバーできるものではなく、多くは理解ある知人たちが購入したものも充てています。それでもどうしてもカバーしきれないものは、一部メーカーからお借りするのですが、その割合は1割ぐらいでしょうか? そのあたりをお含みおき頂き、ご覧いただければ幸いです。 (2013.12)