ライカに始まりライカに終わる · 連載コラム(市川泰憲)
第二回「LEICA S2を使ってみた」
1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

ライカS2と交換レンズ
(この機材の撮影は2008年10月です)
中判デジタル一眼レフカメラの「ライカS2」がいよいよ発売される。業務用といわれるだけに高価だが、ライカ判24×36mmより大きい45×30mm、3,750万画素CCDはどんな写りを示すか大変興味がある。
僕はいろんなカメラメーカーとのおつきあいは長いが、海外メーカーでプロトタイプのときからこれだけ複数回触ることができたのは初めてだ。S2を最初に触ったのは、2008年の10月。ドイツでのフォトキナ終了後に、ライカカメラ社のキャラバンが日本に持参したのを操作させてもらった。ただし、この時点では動かなかった。2回目は2009年の9月。このときはM9とX1の発表に合わせて、S2もきていた。運良く開発担当者のステファン・ダニエルさんの許可を得て3機種とも試写したが、いずれもプロトタイプということで、画質は評価(公開)しないというのがいわずもがなの約束事だ。このときのS2は、大きくて、重いという印象で、AFもジーッ、ジーッという感じで動作は緩慢だという印象だけが残った。
そして今回の3回目、12月の初旬にモデルさんつきで試写する機会に恵まれた。手に持って電源ON、そしてシャッターボタンを半押ししたとたんにびっくりした。恐ろしくAFスピードが向上しているのだ。ファインダーをのぞき、シャッターボタンを半押しすると“ジッ”ピタッという感じで小気味よく合焦する。ボディも妙に手になじむ感じで、日本のメーカー風にいうとエルゴノミックデザインとでもいうのだろうか。グリップ感がよく、動作が俊敏だと、重さも、さほど感じなくなるから人間の感覚なんていい加減なもんだ。フォーマット、価格を別にすれば、ライカR8、R9ユーザーなら文句なく軽々と振り回すことができるだろう。
2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント
●さすが高解像の写り
撮った結果はどうだろう。当日のライティングは、大型のソフトボックス2機だったが、光質が蛍光灯かLEDのようで、なんとなく紫外域が強い感じがしたことと、バック紙が濃いオレンジであったためにカラーフェリアを起こすのではないかという危惧を抱いた。結果としてはホワイトバランス的には、やはり満足いく発色を示さなかった。実際は、中判デジタルという性格上、スタジオ内で大型ストロボ光を利用してというのが一般的なので、発色はもっともっと良好になるだろう。もちろんハンドリングの良さを活用したフィールドでの撮影なら問題ないと思う。
使用レンズは標準のSummarit 70mmF2.5、目にピントを合わせたが、撮影データをご覧いただければおわかりのように、かなり高解像な画質を示している。僕の撮影というか、初めてのカメラを試用するときは、すべてオートで撮るのをスタイルとしている。こうすれば、カメラの性格がわかるというものだ。その点においてAFもスピードだけでなく、精度も必要十分だった。
S2の45×30mmCCDは、35mmフルサイズより56%広いことになり、画素ピッチも6μmというから十分な大きさだ。コダックのCCD撮像素子は、M8、M9がそうであったように、光学ローパスフィルターを使わないシステムのため、シャープな画像が得られることでは定評があるが、S2でもその効果は十分に発揮されていることが理解できる。着物の織り目にモアレが、なんていうこともまったくない。
3,750万画素は、1:1.5縦横比の撮像で7488×4976pixとなり、実データで106.6Mのデータ量となる。これで、写真の全紙に相当するA2判に出力すると320dpi強、2倍全紙相当のA1判だと約230dpi、A0判でも160dpi近い解像度が得られる。写真、印刷とも高画素ならではで、実用上十分すぎるデータ量であることがわかる。

●これからもライカに期待
このカメラを見回していて気づいたのは、ボディ、レンズともかなり手慣れた作りであることだ。例えばライカにとってAF一眼レフは初めてのはずなのに、ボディとレンズマウントの電気信号ピンの仕上げなど、日本の進化したそれとほとんど同じだ。ライカカメラ社によれば、画像処理エンジンは富士通との共同開発だというが、そうなると日本の大手一眼レフメーカーの処理エンジン製造先と同じということになる。現在のように国際協業の時代にあって、だからどうしたといわれればそれまでだが、フルサイズのM9に引き続き、中判のS2、さらにAPS-C判コンパクトのX1と発売が予定されているわけだから、ライカが元気なのはカメラ好きにとってはうれしいことだ。
【さらに詳しく知りたい人は:Leica S2 Review: Test Shooting in Germany】
http://dfarkas.blogspot.com/2009/11/leica-s2-review-test-shooting-in.html
