ライカに始まりライカに終わる · 連載コラム(市川泰憲)
第十八回「異種全面対決 ペンタックスQからライカMまで」
1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)
まず定点観測の場所ですが、以前この場所は、僕のテストチャートとして利用していると紹介したことがあります。千代田区半蔵門にある英国大使館の正面玄関です。この場所の正面に立つのですが、この位置だけはいつも大きく移動はありません。三脚を車止めのフェンスにぎりぎりにあて、左右は建物正面中央の紋章がちょうどくる位置にと決めているので、撮影位置は大きく動いていないはずです。この位置から、気になるカメラを入手したら、まずは撮影してみるのです。
●撮影条件をそろえる
その時の、撮影条件は、絞りはF5.6に設定して絞り優先AEで撮影するのです。ISO感度、WBは自動、ピントを合わせる部分は建物中央屋根ひさし下の紋章、ライカM9のように光学式の距離計(ピント合わせ)部分があるものは、その位置に紋章を配してピントを合わせました。一眼レフも同じようにして合わせますが、AFポイントが多点あるものやフォーカス位置を動かせるのは上のほうの合焦フレームで合わせたり、場合によっては一眼レフでもライブビュー撮影を行ってピント合わせしているのもあります。ミラーレス機も同様に、ライブビューでピントを合わせて行っています。つまり、ピントは画面のどの位置に紋章があっても、そこに合わせてあるということです。
また、理想をいうと同じ日の、同じ時間帯に一斉に撮影できればいいのですが、マンパワーとカメラを用意する都合上、それはできないので、晴天の日、午前10時から11時の間と決めました。それでも、長期にわたるのですから、春先だったり、真夏や、秋そして冬とあるわけですが、特に春先の春霞の時期は見た目になんとなくもやった感じがするのです。
●画質はなんで決まるのか
ところで、画質は何で決まるのでしょうか? 当然のこととして画面サイズが大きくて、画素数が多ければ高画質となります。またカメラが同じでも、レンズが異なれば画質が変わります。また、撮影倍率が違えばやはり画質は違います。ここではいつも同じ場所から撮影しているわけですから、焦点距離や画角が関係してきます。ですから同じ焦点距離、同じ画面サイズ、画素数であるなら、モニター上での比較も可能ですが、画素等倍にすべてを持っていくと、画角や画素数が異なるものでは相対的な画質比較は難しくなるわけです。
特に画素等倍の場合には、どんなに大きなモニターであっても画面のある部分を拡大して見ているわけですから、画面全体の画質が見えなくなるので注意が必要です。
僕の画質評価法は、同じ条件で数カット撮影し、モニター上でピントがベストと思われたカットをA3ノビに、ノートリミングでプリントします。これで比較するのです。フィルムカメラの時代には8×10か4切ぐらいに注意深く引伸ばして、目を凝らして、ルーペなども併用して判断したのですが、デジタルでは家庭でも簡単にA3ノビにプリントできるのですからこちらのほうが簡単です。プリンターは比較しようとするなら、色や解像度のこともありますので同じプリンターを使うのがいいでしょう。またプリンター用紙は微妙な解像感を判断するために、光沢を選ぶようにしてください。
ここでお見せするデータは、基本的にはわざと撮影したままですが、自分の作品を仕上げるときには、さまざまな微調整が必要となってくることはいうまでもありません。もしこの中にあるもの同士を比較してみたい場合には、とりあえずは画像データをダウンロードしてプリントして比較してください。なお、ここに掲載されているデータは、ダウンロードして個人でプリントし、評価する範囲ならば問題ありませんが、無断で商業目的に使用することは禁止されておりますので、必要ならお問い合わせください。
それでは、以下にそれぞれの機材写真と撮影データを紹介します。
2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント

■Leica M9+Summicron35mmF2
【写真1、作例1】
ライカM9は、ライカ判フルサイズ(36×24mm)1,800万画素のコダック製CCDを搭載したレンズ交換式の光学式レンジファインダー機で、2009年に発売されました。レンズは1970年製のズミクロン35mmF2。4群6枚構成で、ズミクロン35mmとしては第2世代モデルです。画質には関係ありませんが、絞りリングにレバーが付いた、いわゆる角付(つのつき)きというモデルです。1970年製のレンズが最新のボディで付くところがライカのおもしろさであり、魅力であるわけです。
【撮影データ】絞りF5.6・1/1000秒、ISO160、AWB、撮影:2013/03/23


■Leica M9+Summarit-M35mmF2.5
【写真2、作例2】
前項と同じライカM9ボディですが、レンズを変えたらどうだろうか、というのがこの組み合わせです。ズマリットM35mm F2.5は、2007年に販売が開始されましたが、ライカの交換レンズとしてある、ズミルックス35mmF1.4やズミクロン35mm F2と異なり、F2.5と最大口径比を抑えた新しいシリーズです。レンズ構成は4群6枚ですが、普及タイプのためか、すべてを球面レンズで構成していますが、ボケがムラのない素直な感じがして、僕的には好きなレンズです。
【撮影データ】絞りF5.6・1/1000秒、ISO160、AWB、撮影:2013/03/23

ズミクロン35mmと比較すると明らかにズマリット35mmのほうが高画質です。しかしこれはデータ上の画素等倍で見たときの画質であり、A3ノビプリントではよほど近づいて見ない限りは、その判別は難しいかもしれません。

■Leica M monochrom+Summicron35mmF2
【写真3、作例3】
デジタルなのにモノクロ専用機である「ライカMモノクローム」が発売されたのは2012年5月でした。ボディには、ライカとか赤色ロゴマークとか一切刻印されていなく、機種名もアクセサリーシューの右側に小さく入っているだけで、高級感あふれる、趣味性の高いデザインに仕上げられてます。カラー撮影できるM9とモノクロ専用のMモノクロームは5212×3472ピクセル(18メガピクセル)と同じ画素数ですが、モノクロ写真を得るのに、M9でカラー撮影して、撮影データをグレースケール化するか、レタッチソフトでモノクロ化したのと比較すると、最初からモノクロ専用機であるMモノクロームのほうが、バイヤー配列されたRGBのカラーフィルターがない分だけ高画質なのです。
どれだけMモノクロームが高画質なのかは、同じ画素数のM9でズミクロン35mmF2で撮影したカットと見比べてください。厳密に見るには、Mモノクローム+ズミクロン35mmF2とM9+ズミクロン35mmF2のカットをA3ノビにモノクロプリントして比較してください。
【撮影データ】絞りF5.6・1/2000秒、ISO320、AWB、撮影:2012/10/20


■Leica M monochrom+Summarit-M35mmF2.5
【写真4、作例4】
同じ「ライカMモノクローム」ボディにズマリット35mmF2.5を装着しての結果ですが、こちらのほうがの高画質であるのは、ライカM9の場合と同じです。ただ同じ画素数でも、M9よりどのくらいMモノクロームのほうが良いのかとなると、なかなか難しく、1.6倍くらいと僕は計算しています(第十五回「ライカMモノクローム」の画質をチェック)。この差はやはりA3ノビに拡大プリントしたレベルでは、かなり近づいてみなければわかりません。A3ノビとはいままでの写真サイズでいうとおおよそ半切相当で、こじんまりした趣味の写真展に展示するには、必要十分な寸法といえましょう。フィルムカメラの時代には、6切か4切程度に伸ばして、十分に台紙のスペースをとって、額装してファインプリントとして展示するというのが一般的でしたが、デジタルの時代になって、全紙、全倍相当はあたりまえ、果ては1.2m幅、全長1.8mというような大伸ばしプリントも頻繁に見るようになりました。高画素タイプのカメラはこのメートル幅あたりで、画素数、レンズなど画質の違いが効いてくるというわけです。
【撮影データ】絞りF5.6・1/2000秒、ISO320、AWB、撮影:2012/10/20

ライカMモノクロームが、どれだけの実力を持つか、RGBバイヤー配列フィルターをもつM9との比較は歴然でした。ここでは使いませんでしたが、Mモノクロームと同時にでたAPO Summicron-M50mmF2 ASPH.を使えば、さらに高解像な画像が得られることは間違いないでしょう。

■Leica M(Typ240)+Summicron35mmF2
【写真5、作例5】
「ライカM(Typ240)」が発表されたのは、2012年のドイツ・フォトキナでした。2,400万画素のCMOSセンサーを搭載し、ライブビューでピント合わせができるのです。もちろんライカM3以来の光学式距離計は組み込まれています。またファインダーの視野枠も、本機から電気的な表示になって、色も黄色と赤を切り替えられるようになりました。電源を入れないでファインダーをのぞくと視野枠が表示されないので、一瞬あれっという感じになりますが、考えてみればデジタルカメラですから、電源が入っていなければ正しく表示できないのも納得いくわけです。
【撮影データ】絞りF5.6・1/1000秒、ISO200、AWB、撮影:2013/03/23

まずライカMでの撮影はズミクロン35mmF2を付けて行いました。M9と何が一番違うのかとなりますが、1,800万画素のCCDと2,400万画素のCMOSセンサーがまず違うとなりますが、モニター上の画素等倍で見る限りは、あまり変わりはありません。もちろんA3ノビプリントプリントも大きく変わりません。考えるにM9とMの解像度よりレンズの解像度が劣っているので全体のレベルを下げているのかも知れません。

■Leica M(Typ240)+Summarit-M35mmF2
【写真6、作例6】
同じ「ライカM(Typ240)」のボディでレンズを変えてみたらということです。M9とMの比較はモニター上の画素等倍で見ると、ズマリット35mmF2.5の場合には明らかにMボディのほうが高解像に見えるのです。ズマリット35mmF2.5の解像力が高いので、M9とMの基本的な画素数の違いが、画質の差になって表れたのでしょう。
【撮影データ】絞りF5.6・1/1000秒、ISO200、AWB、撮影:2013/03/23


■Nikon D800E+AF Nikkor35mmF2D
【写真7、作例7】
D800Eがでて、少したってからやっと手に入れ、テスト撮影したときの画像です。大変シャープで、さすが高画素という感じがしました。ただ、このようにシャープな画像が撮影できるのはシャッターを切ったカットすべてでなく、時々という感じでした。いろいろ調べた結果、AFがボディ側駆動のカプラー方式の場合にバラツキが出ることがわかりました。このような問題を防ぐためには、レンズ内駆動のSWM(超音波モーター)式のGタイプレンズを使えばいいということです。その後、ある程度使ってわかったことですが、このカプラー方式のAFレンズの場合にはマニュアルフォーカスで撮影すれば合焦の確度が高くなるような気がしました。
【撮影データ】絞りF5.6・1/800秒、ISO100、AWB、撮影:2012/06/01

このデータを使って、A3ノビにしたプリントは、描写に緻密感があって、見たほとんどの人がいいレンズだといってくれました。やはり高画素カメラはプリントに効いてくるという感じが正直しました。ただしプリンターは高解像度タイプのプロ用インクジェットプリンターです。

■Nikon D800E+AF-S Nikkor24~70mmF2.8G ED
【写真8、作例8】
そこでニコンお奨めのGタイプレンズで撮影してみました。焦点距離は、AFニッコール35mmF2Dとそろえるためにズーム域は35mmに設定しました。
撮影日時が異なるので、結果は微妙に異なるかも知れませんが、画質的にはモニター上の画素等倍で見る限りは同じ絞り値でも、AFニッコール35mmF2Dのほうが高解像のような感じがします。まったく同じボディを使っていますので、ズームと単焦点レンズの微妙な差かもしれません。もちろんA3ノビのプリントレベルではその差はほとんどわかりません。
【撮影データ】絞りF5.6・1/500秒、ISO100、AWB、撮影:2013/02/05

ニコンD800/D800EのHPでダウンロードできる「D800/D800Eテクニカルガイド」によると、撮影にあたっては、1)三脚を使用、2)ミラーアップしてライブビューを使用、3)絞りすぎないように、4)高感度ノイズ低減をしないなどが、撮影時の注意点としてあげられています。高画素一眼レフの使い方の難しさを知らされました。

■Canon EOS KissX7+Canon Zoom Lens EF-S18~55mmF3.5-5.6 IS STM
【写真9、作例9】
一眼レフが大きく重いといわれ、結果としてミラーレス機の普及が促進したわけですが、キヤノンはミラーレスのキヤノンEOS Mを投入しましたが、もう1つの答えがAPS-C判で1800万画素CMOSを搭載した、小型のEOS Kiss X7を発売したことです。ミラーレスと一眼レフは小型・軽量を別にして、何が一番違うのかということになりますが、ミラーとプリズムがないためにAFの方式が違うのです。一眼レフの基本AF方式は位相差検出方式で、ピント合わせで前ボケ・後ボケが認識できそれだけピント合わせが速いということになります。また、ミラーレスや一眼レフのライブビュー撮影はコントラスト検出が基本で、俗にいう山登り方式であって、行ったりきたりを繰り返し徐々に幅を狭めてピントを合わせるのです。
標準レンズは非球面を採用した11群13枚構成で、手ブレ補正機構搭載し、35mm判換算で29~88mm相当をカバーする小型・軽量の標準ズームです。新タイプの6群ズームにより、最大撮影倍率は望遠側で0.36倍の近接ができます。
【撮影データ】絞りF5.6・1/1000秒、ISO100、AWB、撮影:2013/06/15

撮影結果からすると立派なもので、レンズの解像力も必要十分で1,800万画素をフルに生かした解像度が得られています。同じ焦点距離・F値のEOS M用のズームレンズもありますが、光学系は11群13枚と同じでも、別の光学系となってます。EOS Mの撮影結果と比較しますと、EOS Mのほうは発色が鮮やかだと思われるかもしれませんが、EOS kissX7の撮影が梅雨の合間の晴天のためこのようになりました。レンズやカメラのせいではありません。

■Canon EOS M+Canon Zoom Lens EF-M18~55mmF3.5-5.6 IS STM 【写真10、作例10】
キヤノンとしては初のミラーレス機で、APS-C判の1,800万画素CMOSセンサーを搭載しています。AFはハイブリッドCMOS AFを採用し、位相差とコントラスト検出を兼用した像面位相差検出方式で、専用のEF-M18~55mmF3.5-5.6 IS STMなどを使用したときは、単なるコントラスト検出AFより素早いピント合わせが可能とされてます。
【撮影データ】絞りF9・1/200秒、ISO100、AWB、撮影:2012/11/14

本機には、表だってモード切替ダイヤルはありません。ここでの撮影はカメラの性格を考えて、プログラムAEで行いました。結果、他機と異なり絞られたので、多少画質は向上しているはずです。標準ズームレンズとして使用したEF-M18~55mmF3.5-5.6は、11群13枚構成で、一眼レフ用のEF-S18~55mmF3.5-5.6と焦点距離・開放F値は同じでも、手ブレ補正機構の配置やレンズ構成はまったく違います。写した結果は、一眼レフの「EOS kissX7+EF-S18~55mmF3.5-5.6」との結果と大きく変わることはありません。同じAPS-Cの1,800万画素CMOSということで、足並みがそろった感じです。

■Canon EOS M+Canon Lens EF-M 22mmF2 STM
【写真11、作例11】
EOS Mの発売は、標準ズームEF-M18~55mmF3.5-5.6とこのEF-M 22mmF2、さらにマウントアダプターEF-EOS M、スピードライト90EXなどがセットになったものがあるのです。マウントアダプターEF-EOS Mは通常のEOS用EFレンズをEOS Mに取り付けるためのマウントアダプターです。なおEOS Mは、2013年6月にファームウエアVer.2.0.2がアップデータとして発表されました。これによりAF速度が最大2.3倍速くなったというのです。ファームウエアアップによる性能アップはデジタルカメラならではのものですが、EOS Mは今後どのように進化するか楽しみです。
【撮影データ】絞りF8・1/250秒、ISO100、AWB、撮影:2012/11/14

撮影レンズは、EOS M用のパンケーキレンズとして用意された、厚さ23.7mm、重さ約105g、6群7枚構成の単焦点の22mmF2です。撮影はカメラの性格を考えて、EF-M18~55mmF3.5-5.6と同様にプログラムAEで行いました。結果、他機と異なり絞られたので、多少画質は向上しているはずです。キヤノンEOS Mをいままでのカメラと同じ概念で使おうとすると、苦労します。基本的にはシーンモードを決めてオートで撮るカメラなのです。ミラーレスである以前に、カメラとしての操作系の在り方を探っているような感じがするカメラです。

■Ricoh GXR+MountA12+Super Angulon21mmF4
【写真12、作例12】
リコーGXRは、「ボディ」とレンズ・撮像素子を組み込んだ「カメラユニット」が別々に用意されたユニークなカメラで2009年12月に発売されました。2011年9月にはライカMマウントレンズが取り付けられる「リコーGXRマウントA12」が発売されました。APS-C、1,230万画素CMOSですが、僕の最大の関心事は、フィルムライカ時代のお気に入りレンズであった1959年製の対称光学系を採用した“スーパーアンギュロン21mmF4”が使えるかどうかでした。それまでのエプソンR-D1(2004年)では周辺光量の低下が大きく、ライカM8(2006年)とライカM9(2009年)では周辺が赤く偏向して思ったように使えませんでした。GXRマウントA12が手元に届いてから、まず最初に使ったのがスーパーアンギュロン21mmF4との組み合わせです。
【撮影データ】絞りF5.6・1/290秒、ISO200、AWB、撮影:2011/07/11

結果は上々、周辺光量の減光もなく、隅部の色付きもなくベストでした。特に調整するまでもなくそのまま使え、もし周辺に色付きが表れるレンズの場合には、色の補正ができるようになっており、さらに周辺光量の落ち方も自分好みにコントロールできるというスグレモノでした。レンズは戦後の製造なのでフッ化マグネの単層コートが施されていますが、作例では、画面全体にわずかにフレアがかった印象があります。これは光線状態にもよりますが、クラシックレンズならではの描写特性で、レタッチソフトでレベル補正を使えば簡単に除去することができます。ここではそのままで、処理していません。そして最近わかったことなのですが、機会があってGXRマウントA12を開発した技術屋さんに会うことができたのです。しかしなんでスーパーアンギュロン21mmF4がみごときれいに使えるか聞いたところ、なんと僕があちらこちらでスーパーアンギュロン21mmF4がいいぞ、いいぞといっているので、それを1つの開発目標にしたというのです。感謝です。

■Ricoh GXR+MountA12+Hektor2.8cmF6.3
【写真13、作例13】
同じく対象型の広角レンズ「ライツ・ヘクトール2.8cmF6.3」です。1935年製造のものなので、なんとほぼ80年近くも前のものです。こちらもスーパーアンギュロンと同じ条件で撮影してみました。なおこのヘクトール2.8cmは開放絞りがF6.3なので、1段絞り込んだF9で撮影しています。
【撮影データ】絞りF9・1/189秒、ISO200、-0.7EV補正、AWB、撮影:2011/07/15

撮影結果はご覧のようで、画面全体にフレアがかっていますが、約80年も前のレンズであること、ノンコートであることなどを考えると、解像力を含めて立派なものです。このフレアはレタッチソフトのレベル補正処理をすれば一発で消せます。フィルム時代にはなかったデジタルならではのメリットです。GXRマウントA12の素晴らしさは、ライブビューでのピント合わせですが、使ってみると頭で考えるよりさまざまな応用があり、僕の周りの多くのライカ使いの人々が大口径レンズや望遠レンズなどで改めて、ピントの山は1カ所であることを認識して、新旧レンズを楽しく使っています

■Ricoh GXR+GR LENS A12_28mmF2.5
【写真14、作例14】
APS-Cサイズで1,230万画素のCMOSを使ったカメラユニット。2010年の発売だから、当時のGRデジタルIIIのAPS-C判として発売されたのでしょう。GRデジタルはその後IV型となり、2103年5月に発売された「GR」は、V型とせず名称をその「GR」としたところが時代を感じさせます。本機の名称は「GRレンズ」であって、GRに対する思い入れを感じさせます。A12_28mmF2.5は、1,230万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載という意味ですが、28mmF2.5は商品名であって、実際の焦点距離はAPS-C判であるから18.3mmF2.5です。
【撮影データ】絞りF5.6・1/1070秒、ISO200、AWB、撮影:2012/12/07

2013年5月に発売された同じAPS-C判の“GR”と描写の違いはどうあるのかということでこの場に引張りだしましたが、撮影結果は、画素なりの描写で、可もなく不可もなくという感じです。

■Pentax Q+01 STANDARD PRIMELENS SMC PENTAX 8.5mmF1.9 AL[IF]【写真15、作例15】
ペンタックスQは2011年に発売されました。レンズ交換式としては最小で、1,240万画素、1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサーを搭載しています。この1/2.3型のセンサーは、4.6×6.2mmの画面寸法で、標準レンズは8.5mmです。35mm判に換算するときは5.53倍しますので、8.5×5.53≒47mmとなります。ペンタックスは、フィルムカメラの時代には67判、645判、35mm判、110判と4系列のレンズ交換式の一眼レフカメラを作っていました。デジタルになってからは、レンズ交換式としては645D、APS-C判に加えQマウントカメラが加わったのです。ミノックス判が8×11mmで、110判の画面サイズは13×17mmなので、ペンタックスQの画面サイズはそれよりも小さいということになります。画素数は1,240万ですから、A3ノビ程度の引伸ばし必要十分といえるわけですが。画面サイズ8.5×5.53mmは、どのような描写をするか、大変興味がありました。
【撮影データ】絞りF3.2・1/1000秒、ISO125、AWB、撮影:2011/10/31

写した結果は、大変バランスいい描写を示し、少なくともA4プリントではまったく問題なく。逆にA3ノビのプリントを見るとかなり頑張っているなという感じの描写です。
なおペンタックスQはその後進化して、2013年7月に上位機種として画素数は同じ1240万画素の1/1.7型裏面照射型CMOSセンサーを採用した「ペンタックスQ7」を発売しています。センサーサイズが約140%アップしたということで、さらに高感度に対応し、高画質になったそうです。なお、同じプライムレンズ8.5mmは、約4.6倍で35mm判換算39mm相当の画角となります。

■Fujifilm XE-1+Fujinon Lens XF35mmF1.4R
【写真16、作例16】
2012年2月に発売された「フジフイルムX-Pro1」に引き続くミラーレスカメラ「フジフイルムX-E1」が発売されたのは11月のことでした。X-Pro1とX-E1の大きな違いは、前者が背面液晶に光学ファインダーとEVFの切り替え式であったのが、X-E1ではEVFと背面液晶だけになったことです。撮像素子はどちらも同じAPS-C判の1,630万画素、X-Trans CMOSです。このX-Trans CMOSとは従来の2×2画素を1単位としたバイヤー配列のカラーフィルター配列でなく、6×6画素を1単位とした独自の周期性の低いカラーフィルター配列のために、従来モアレ除去のために必要とされていた光学ローパスフィルターを不要とし、シャープな画質を得られるというものです。
使用したレンズは、標準の「フジノンXF35mmF1.4R」です。撮像素子がAPS-C判なので、35mm判で約52mm相当の画角となります。
【撮影データ】絞りF5.6・1/800秒、ISO200、AWB、撮影:2012/12/23

撮影結果をご覧ください。フォーカスポイントは、縦7列、横7列の49ポイントあるので最上列の中央を使いAFでピントを合わせました。パソコンのモニター上で画素等倍に拡大してみましたが、1,630万画素というのにかなりシャープに見え、素晴らしい画質です。以前「ミラーレスでライカレンズを使う」というレポートでX-Pro1を使用したことがありますが、ここまで際立ったものはありませんでした。たぶん使用レンズがライカレンズ、それもクラシックであったために性能的にレンズの解像度に性能が引き下げられてしまったのではないだろうかと考えました。やはり、使用レンズは専用がいいわけで、XF35mmF1.4Rレンズはむりした大きさでなく、光学性能だけでなく、各種光学特性などを電気的にボディとやり取りし、X-Trans CMOSの性能が十分に発揮された成果ではないだろうかと思うわけです。この時期、改めて見直しました。

■Sigma DP1 Merrill
【写真17、作例17】
レンズ非交換式でAPS-C判のイメージセンサーを使った「シグマDP1メリル」は2012年9月の発売です。独自なフォビオンイメージセンサーはRGBの色分解フィルターを使わないで、4,400万画素というデータを出力します。シグマによると4,400万画素という高画素性能を存分に発揮するためにはレンズシャッター式カメラがベストだということなので、シグマでは一眼レフのSD1メリルもラインナップしてますが、お勧めは単焦点式のコンパクトカメラで「DP1メリル」、「DP2メリル」、「DP3メリル」と3機種が発売されてます。ここで使用したDP1メリルは19mmF2.8レンズを搭載。35mm判換算約28mm相当の画角となります。
【撮影データ】絞りF5.6・1/800秒、ISO200、AWB、撮影:2012/12/09

撮影は、AFフレームを移動させることができるので、9点あるうちの、上列・中央を紋章に合わせるようにして行いました。結果はご覧のとおりですが、パソコンモニターで見る画素等倍の画面では、高画素タイプそのものの高画質であり、ライカMモノクローム、ニコンD800Eに並ぶ高画質ぶりを示しています。

■Sigma DP2 Merrill
【写真18、作例18】
「シグマDP2メリル」は、前項のDP1メリルのレンズを30mmF2.8としたもので、その他外観デザイン、使い勝手は両機種とも変わらないところが特徴です。30mmF2.8は35mm判換算45mmレンズ相当画角となります。発売は、2012年7月であるので、こちらのほうが先行発売されていたのです。また2013年2月には35mm換算75mm相当画角の準望遠となる50mmF2.8レンズを搭載した「シグマDP3メリル」が発売されていますので、広角・標準・望遠とそろったことになります。どれを選ぶかはお好み次第というわけですが、難しい選択です。いずれにしても単焦点で3台というのもすごいもので、先日技術担当の人にズームレンズ付きはださないの?と聞いたら、きっぱり“だめです”といわれてしまいました。
【撮影データ】絞りF5.6・1/1250秒、ISO200、AWB、撮影:2012/12/09

撮影法は、DP1メリルと同じ方法で行いました。実写結果はご覧のとおりですが、DP2メリルのほうが同じ場所からの撮影で倍率が高いことになり、解像力は高いことになります。
なお記録画素数4,400万画素は、4,704×3,136×3層の計算からでてきますが、実質的な解像感は3,000万画素相当の画質と計算でき、これはRGBカラーフィルターをなくしモノクロ専用機の「ライカMモノクローム」の解像感が1.6~1.7倍よいと計算して、3,000万画素相当の解像感が得られるとした値とかなり近似したものになります。

■Sony Cyber-shot DSC-RX1
【写真19、作例19】
ソニーサイバーショットDSC-RX1が発売されたのは、2012年11月のことでした。RX1の最大の特徴は、フルサイズで有効画素数約2,430万画素のCMOSセンサーを採用し、ツァイスゾナー35mmF2レンズを非交換式として搭載した高級コンパクトカメラであることです。なぜ、非交換式にしたかということですが、レンズ交換式ではだせない1/1000というような細かいオーダーまで作り込みができ、画面周辺までピントがぴったりでるというようなことを新聞広告で読んだ気がします。外付けのファインダーは、EVFと光学式の2種が用意されています。
【撮影データ】絞りF5.6・1/500秒、ISO100、AWB、撮影:2012/11/16

撮影結果からすると、そのあたりのこだわりが見えてくるかというとなかなか難しいことですが、確かにモニター上で画面周辺までむりのない画質であると、判断することができます。なおソニーは、より高画質モデルとして、光学ローパスフィルターを外した「サイバーショットDSC-RX1R」を2013年7月に発売しました。光学ローパスフィルターに関しては、一眼レフでは35mm判フルサイズのニコンD800とD800Eがフィルターありと効果打消しの技術を採用し、35mm判APS-CのペンタックスK-5IIとK-5IIsはフィルターありとなしのモデルが用意されています。ソニーDSC-RX1Rは、フルサイズでレンズシャッター機であるわけですから、ありとなしでどのような描写をするか大いに興味があります。

■Ricoh GR
【写真20、作例20】
ペンタックスを傘下にしてから初のリコーブランドの「GR」です。古くは、その源として1994年に発売されたフィルムカメラで薄型コンパクトの“リコーR1”にまでさかのぼることができ、28mmレンズを搭載したフィルムカメラの“GR1”として登場したのは1996年でした。その後、超広角21mmレンズ搭載の“GR21”が2001年に登場し、フィルムカメラの時代は終わりました。4年の空白を経て2005年に登場したのが“GRデジタル”です。GRデジタルは、II(2007)、III(2009)、IV(2011)と進化を遂げ、高画質レンズを搭載し、同デザインのボディ、1/1.8~1.7型の1,000万画素近辺の小型CCDを搭載と変わらずにきましたが、APS-C判CMOS搭載で「リコーGR」として2013年5月に発売されたのです。
【撮影データ】絞りF5.6・1/750秒、ISO100、AWB、撮影:2013/05/06

この「リコーGR」は、APS-C判という大型センサーを使いながらもフィルムカメラ時代のGR1とほぼ同寸に仕上げたというのです。この大きさは、GXR+GRレンズA12_28mmF2.5と比較してみれば一目瞭然で、ご立派な大きさです。そこで、かんじんの写り具合ですが、やはり画素分だけいいという感じですが、実際は、AFのレスポンス、実用感度幅、最短撮影距離が近くなっているなど、小型化とともに使い勝手は大きく向上しています。なお、GRレンズA12_28mmF2.5は光学ローパスフィルターは“あり”でしたが、GRでは“なし”になりました。
●定点観測で見えてきたもの
世の中、カメラに対してはいろいろな評価がでていますが、ここでのレポートはユーザーサイドに立った実写レポートであることを、まずご理解いただければ幸いです。今回改めて撮影時期をチェックしてみましたら、最も古いのは2011年7月の「リコーGXR+MountA12」のスーパーアンギュロン21mm F4とヘクトール2.8cmF6.3の組み合わせでした。特にスーパーアンギュロンは、フィルム時代からのお気に入りで、それ以前にでていたMマウント対応のデジタルボディでは、ライカの製品でも満足いくものではありませんでした。やはりこのあたりから、個人的に定量的なデータが欲しいということになり。身近に存在する、英国大使館の本館を正面から撮影することを始めたわけです。
結果として、2013年7月現在までの、20シーンを紹介できたわけです。このポジションを被写体にして、一部社のカメラを比較したのには本コーナーの 第十四回「ミラーレスでライカレンズを使う」で、リコーGXR+A12Mount、ソニーNEX-7、フジフイルムX-Pro1のそれぞれに、ズミクロン35mmF2(第2世代)を取り付けて、同じ条件で撮影したものがあります。興味がある方は、ぜひそちらもご覧ください。なお、この時期、光学ローパスフィルターを外すことで高画質になるという考え方が流行っていますが、それそのものが高画質への要因だとはこの20点の作例からは、判断しきれませんでした。
撮影方法ならびに結果には、いろいろご批判もあるかとは思いますが、少なくとも同じ1人の人間が、同じ三脚を使い、同じ位置から、同じ絞り値で撮影しているわけですから、ある程度傾向は見えてくると思うわけです。また選択機材も、自分で購入したもの、仲間が購入したものをお借りして掲載するのを原則としていますが、一部にはメーカーさんから借用したものもありますが、極めて少数であることをお断りしておきます。今後も、気がついた機種がありましたら、テストしていくつもりですが、改めてこのコーナーに、追補できればいいなと考えております。
最後に、最新のデータは僕のブログである「写真にこだわる」をご覧ください。また、うちの機種をなぜ取り上げないのかというお声もあるかと思いますが、あくまでも個人の興味の範囲だということをご理解いただき、ぜひテストしてほしいという機種がありましたら、お声かけいただければ、前向きに対処いたします。 (2013/07/25)
