クラカメ探検隊 · レンジファインダー
nikon SP
1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

ニコンSPはご存じの通りニコンレンジファインダー機の中で最高の性能を誇る、Sシリーズの代表機です。
SPはニコンS、S2に引き続き、1957年(昭和32年)に発売されました。それまでのSシリーズのレンズ、アクセサリーもそのまま使用可能で、かつ広角系、望遠系にわかれたファインダー、1軸不回転式のシャッターダイヤル、ニコン初のセルフタイマーなどの新しい凝ったメカニズムが採用されています。特にファインダーは、6種類のレンズに対応する採光窓式ブライトフレームファインダー(完全に等倍)となり、パララックスも自動補正されます。またそのシャッター音は「ささやくシャッター」と称され、シャッター音の小ささも話題になりました。
では、使い方を見ていきましょう。
- 発売:1957年9月
- 型式:35mmフォ-カルプレ-ンシャッター式距離計連動カメラ
- 画面サイズ:24x36mm
- シャッター形式:横走フォーカルプレー
- シャッター幕:ゴム引き絹羽二重
- シャッター設定:1軸不回転式ダイヤル
- シャッタースピード:T・B・1〜1/1000秒
- シンクロ接点:FP〜X
- ファインダー構成:採光窓式等倍+逆ガリレイ・アルバダ式
- ファインダーフレーム:等倍系/ブライトフレーム50・85・105・135mm、逆ガリレイ系/全視野28mm・ブライトフレーム35mm
- 露出計連動:可
- フィルム巻き上げ:小刻みレバー
- フィルム巻き戻し:A・Rリング・クランク式
- 枚数計:自動復元
- 大きさ(ボディーのみ):136x81x43.5mm
- 重さ(50mm/F1.4付):720g
2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント

まずレンズの交換の方法です。レンズをはずすにはまず距離目盛りを無限遠に合わせてから、レンズ着脱バネ(写真○印)を押し、矢印の方向へレンズを回すとレンズの赤点とボディの赤点が合うところでレンズがはずれます。

取り付けは、同じように無限遠に合わせてからボディの赤点にレンズの赤点を合わせてた位置からレンズをはめ、先ほどと反対の方向へカチッと止まるところまで回します。

裏蓋を開きます。カメラの底部にある裏蓋開閉用のつまみを立ち上げ、openと書かれた方向へ回します。そのまま下へ引き抜くと裏蓋がはずれます。

フィルムのパトローネをフィルム室の左側に入れ、右側のスプールの切り込みにフィルムの先端を差し込みすこし巻き付けます。

裏蓋をもとのようにはめ、つまみをcloseの方向へ回し倒しておきます。

フィルムを数枚から送りしますが、その前にシャッターボタンの周りについている巻き戻し切り換えリングがAの位置にあることを確認しておきましょう。

巻き戻しレバーの上のフィルムカウンターは裏蓋を開けた時点で「0」に戻ります。この表示盤が「1」をさすまでフィルムをから送りします。このとき、巻き戻しクランクが刻まれている矢印と反対方向へ回れば、フィルムが正しく送られていることになります。

フィルムカウンターの向い側についているのがフィルム数をメモしておく窓になります。20と36の2種類が選べるようになっています。

またカメラ底部にはフィルム感度の表示盤がついています。フィルムが白黒かカラーか、またフィルムのASA感度をメモしておけるようになっています。SPには露出計はついていませんので、あくまでもメモの意味しか持ちません。E(empty)はフィルムを取り出した際にこの位置にしておきます。

撮影です。レンズの絞りを決めます。

シャッタースピードをセットします。T、Bと1〜1/1000秒までです。シャッターダイヤルは左右どちらにも回すことができます。また、シャッターの巻き上げのあとでも前でもシャッタースピードのセットが可能です。フィルムが巻き上げてあるかどうかは、シャッターボタンの内側の黒点と外側の指標が同じ位置にあるかどうかで判断できます。上の写真のように同じ位置にあれば巻き上げてある状態です。

ファインダーは2つにわかれています。左側が28mmおよび35mmの広角レンズ用ファインダー、右側が距離計と50mm、85mm、105mm、135mmレンズ使用時のファインダーです。
広角レンズ用のファインダーは一番外側の枠が28mm用のファインダー枠で、その内側が35mmレンズ用のファインダー枠になっています。さらにその内側の破線は、撮影距離が4フィート以内の場合の撮影範囲になります。

標準および望遠レンズ用のファインダーは右側です。フィルム巻き戻しクランクのまわりにファインダーセレクターがついています。5、8.5、10.5、13.5の4つの表示があり、それぞれ焦点距離を示します。
5を選ぶとファインダー内に50mmレンズ使用時のファインダー枠が表示されます。8.5を選ぶと50mmの枠に加えその内側に85mmの枠が、10.5を選ぶとさらに105mm用枠が表示され、13.5を選ぶを4種類の枠が全て表示されます。ファインダー枠の色とセレクタの数字の色は対応しています。いずれの場合でもパララックスは自動補正されます。

右側のファインダー内の二重像を見ながら、カメラ向かって左上についているフォーカシングギアを回転させてピントを合わせます。レンズが無限遠の位置にある時はロックがかかりギアが回転しないので、写真丸印部の無限遠ロックレバーを押しながらギアを回します。またはレンズのフォーカスリングを回してピントを合わせます。広角系のレンズを使用する場合は、左側のファインダーで構図を決めてから、右側のファインダーでピントを合わせて撮影します。

カメラ前面にはセルフタイマーレバーがついています。レバーを矢印の方向へ倒し、スタートボタンを押すとセルフタイマーが働きます。レバーを倒す角度により3秒から10秒までの間で時間を設定できます。レバーのまわりには角度の目安を示す点が3つついています。

ストロボを使用して撮影するときは、シャッターダイヤルの下についているシンクロセレクターをFXにセットします。

撮影がすめばフィルムを巻き戻します。まず戻し切り換えリングを回して「R」の位置にします。

巻き戻しクランクを起こして、刻まれている矢印の方向へ回していきます。手応えが軽くなれば最後まで巻き取られています。また、フィルムを巻き戻している間はシャッターボタンが回転しています。この回転が止まれば、フィルムは全て巻き戻されたと判断できます。

裏蓋を開き、フィルムを取り出します。カメラをしまう時には、レンズの焦点調節用ギヤを無限遠の位置にしてからしまうようにします。また、シャッター、およびセルフタイマーもかけたままにしないようにします。これでニコンSPを終わります。
