クラカメ探検隊 · レンジファインダー
Nikon S3
1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

S3はSPの翌年、1958年(昭和33年)3月に発売されました。 S3はニコン(当時は日本光学)のレンジファインダー機SP、S3、S3M、S4の基本モデルで、超高級機のSPに普及機のS3というように、当初からコンビを組んでの発売が予定されていました。よくSPの廉価版がS3と言われますがこれは正しくなく、社内での製品名称もS3は「26F1B」、SPが「26F2B」とS3の方が先になっています。
SPとの違いはファインダーの対応範囲で、SPが2.8〜13.5cm、S3が3.5〜10.5cmと少し狭くなっており、またパララックスの自動補正もありませんが、構成がシンプルな分SPよりもファインダーが明るいという魅力もありました。
またS2で不評だったシャッター音も小さく改良され、その音は「ささやくシャッター」と称され話題になりました。
では、使い方を見ていきましょう。
- 発売:1958年(昭和33年)3月
- 型式:35mmフォ-カルプレ-ンシャッター式距離計連動カメラ
- 画面サイズ:24x36mm
- シャッター形式:横走フォーカルプレーン
- シャッター幕:ゴム引き絹羽二重(最終ロットのみチタン幕)
- シャッター設定:1軸不回転式ダイヤル
- シャッタースピード:T・B・1〜1/1000秒
- シンクロ接点:FP〜X
- ファインダー構成:アルバダ式等倍
- ファインダーフレーム:ブライトフレーム35・50・105mm
- 露出計連動:可
- フィルム巻き上げ:小刻みレバー
- フィルム巻き戻し:A・Rリング・クランク式
- 枚数計:自動復元
- 大きさ(ボディーのみ):136x79.5x43.5mm
- 重さ(50mm/F1.4付):580g
2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント

まずレンズの交換の方法です。レンズをはずすには距離目盛りを無限遠に合わせてから、レンズ着脱バネ(丸印)を押し矢印の方向へレンズを回すと、レンズの赤点とボディの赤点が合うところでレンズがはずれます。

取り付けは、同じように焦点目盛りを無限遠に合わせてからボディの赤点にレンズの赤点を合わせてた位置からレンズをはめ、先ほどと反対の方向へカチッと止まるところまで回します。
無理に取り付けるとレンズが外れなくなってしまうので注意して行いましょう。

裏蓋を開きます。カメラの底部にある裏蓋開閉用のつまみを立ち上げ、openと書かれた方向へ回します。そのまま下へ引き抜くと裏蓋がはずれます。

フィルムのパトローネをフィルム室の左側に入れ右側のスプールの切り込みにフィルムの先端を差し込んだら、巻き上げクランクを操作して確実に巻き付けます。

裏蓋をもとのようにはめ、つまみをcloseの方向へ回し倒しておきます。

シャッターボタンの周りについている巻き戻し切り換えリングが「A」の位置にあることを確認しておきましょう。
「A」の位置は通常の撮影用、「R」の位置だと巻き戻し用をそれぞれ意味しています。

フィルムカウンターが「1」を指すまでフィルムをから送りします。この時、巻き戻しクランクが矢印と反対方向へ回れば、フィルムが正しく送られていることになります。
なおフィルムカウンターは裏蓋を開けた時点で自動的に「0」に戻ります。

フィルムカウンターの向い側についているのがフィルム数を登録しておく窓になります。36と20の2種類が選べるようになっています。
この当時、24枚撮りはまだ普及していませんでした。

またカメラ底部にはフィルム感度の表示盤がついています。フィルムが白黒かカラーか、またフィルムのASA感度をメモしておけるようになっています。S3には露出計はついていませんので、あくまでも覚え書きの意味しか持ちません。E(empty)はフィルムを取り出した際にこの位置にしておきます。

撮影です。レンズの絞りを決めます。

シャッタースピードをセットします。シャッターの巻き上げの後でも前でもシャッタースピードのセットが可能です。
またシャッターダイアル中央の黒丸で、シャッターチャージしてあるかが確認できます。チャージしてあれば左の写真のように真横(シャッターボタンの赤丸と同じ方向)、シャッターを切った後ならば右の写真のように斜めを向きます。

ファインダーには35mm、50mm、105mmの枠が準備されています。
外側から105mm、50mm、35mmの並びになっています。各フレームの内側に見える小さな印はパララックス補正マークです。

ファインダー内の二重像を覗きながら、左上についているフォーカシングギアもしくはレンズのピントリングを回転させて焦点を合わせます。レンズが無限遠の位置にある時はロックがかかりギアが回転しないので、写真丸印の無限遠ロックレバーを押しながらギアを回します。

カメラ前面にはセルフタイマーレバーがついています。レバーを矢印の方向へ倒し、スタートボタンを押すとセルフタイマーが働きます。レバーを倒す角度により3秒から10秒までの間で時間を設定できます。レバーのまわりには角度の目安を示す点が3つついています。

ストロボを使用して撮影するときは、シャッターダイヤルの下についているシンクロセレクターをFXにセットします。

撮影がすんだらフィルムを巻き戻しましょう。まず戻し切り換えリングを回して「R」の位置にします。

巻き戻しクランクを起こして矢印の方向へ回します。手応えが軽くなれば最後まで巻き取られています。また、フィルムを巻き戻している間はシャッターボタンが回転しています。この回転が止まれば、フィルムを全て巻き戻ったと判断できます。

裏蓋を開き、フィルムを取り出します。カメラをしまう時には、レンズの焦点調節用ギヤを無限遠の位置にしてからにしましょう。また、バネ劣化防止のため、シャッターやセルフタイマーもかけたままにしないようにします。
これでS3を終わります。
