ライカに始まりライカに終わる · 連載コラム(市川泰憲)
第四十八回「キヤノンEOS Rを使ってみました」
1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

キヤノンのフルサイズミラーレス一眼「キヤノンEOS R」が2018年10月25日に発売になりましたので、さっそく使ってみました。今回用意したのは、EOS Rボディ(3,030万画素、大きさ135.8×98.3×84.4mm、重さ約660g(バッテリー、SDカード含)、価格:237,500円、RF24~105mmF4 L IS USM(155,000円)、RF35mmF1.8 Macro IS STM(75,000円)、マウントアダプターEF-EOS R(15,000円)です≪写真1≫。



■まずはセットアップ
開梱してうれしかったことは、箱からボディが複雑でなく簡単に取り出せたこと、「RF24~105mmF4 L IS USM」と「マウントアダプターEF-EOS R」にしっかりとしたケース≪写真2≫がついていたこと、レンズをマウントから外して、ボディ側マウント内部を見るとシャッター羽根が閉じていて撮像素子がもろにでていない≪写真3≫などです。ただしRF35mmF1.8 Macro IS STMには、ケースもフードも付いていないのです。ちょっと残念ですが、キヤノンとしてはRF35mmF1.8 Macroを標準レンズとして考えているようです。なぜならば、標準レンズには普通ケースやフードは同梱されていないのです。
撮影のための設定操作は、≪写真4≫に示すように基本的なメニューボタン、十字キー、モードボタン、2カ所のサブ電子ダイヤルなどですが、本機ではM-Fn(マルチファンクション)ボタンに加え、M-Fnバーと呼ばれる新しいスイッチがボディ背面右肩に設けられました。このM-Fnバーは初期設定のままでは、機能が割りあてていないので働きませんが、設定するとスライド(左・右から)、タップ(左端)、タップ(右端)によって、撮影時のISO感度やフレキシブルAE、AFなど、さらに再生時の機能も素早く機能を呼び出すことができます。
このほか背面の液晶パネルでは、タップでモードのOn・Off、AFポイントの設定、露出補正、シャッターを切るなどが行え、スワイプでコマ送り、再生画面を2本指で拡大縮小できるピンチアウト機能などが利用でき、単なるモニター機能だけでなくなったのはカメラの仕様に表れませんが、カメラ操作という点では近年の進歩というか変革といえるでしょう。このあたりを複合して自在に使えることがEOS Rに限らず、昨今のカメラの使いこなし方のポイントとです。使い込みで慣れることが大切なわけです。
■いつもの英国大使館とマンションを撮影
ボディにレンズをセットして、撮影に入りますが、まずは隠れている背面液晶を表に出します。次に電源をONにして、モードボタンを押しながらボディ右前か右肩のサブ電子ダイヤルのどちらかを回転させるか、背面液晶に示される各モードアイコンをタッチすれば好みのモードが設定できます。この中でEOS初というFvモード(フレキシブルAE)が新しく搭載されています。これはシャッター速度、絞り、ISO感度を、AUTOもしくは任意で設定できる初めてのモードです。ここはとりあえずスルーしてAv(絞り優先AE)モードにて最初は撮影してみました。撮影モードは上部右上の表示パネルに示されますが、電池が入っていると撮影モードが電源OFFでも示され、電池を抜いた時には消えますが、電池を再度装着すると改めてもとのモードが保持されているので安心です。
まずは数カット室内を撮りましたが特に問題ないので、Avモードにして、絞りF5.6でいつもの英国大使館正面玄関の撮影にのぞみました。そこでファイルを見ると“FNA0001.jpg”となっているのです。もちろんファイル名は好みで変えられるでしょうが、過去のデータと分別できるので、このままいくことにしました。

≪作例1≫ 英国大使館正面玄関:RF24~105mmF4 L IS USM。焦点距離35mm、F5.6・1/640、ISO 100、AWB、三脚使用。このレンズは24~105mmと倍率が高いせいか重量感があり、外観仕上げは重厚感があり、ボディ側手前からズームリング、フォーカスリング、一番先端にクリック感のある絞りリングがあります。

≪作例2≫ 単焦点のRF35mmF1.8 Macro IS STMで英国大使館正面玄関を撮影。 F5.6・1/640、ISO 100、AWB、三脚使用。撮影は単焦点35mmF1.8とズームレンズの35mmの時の描写比較ですが、画素等倍にしてエンブレムの部分を比較すると、単焦点の35mmF1.8マクロの方が解像的に少し上だなという感じですが、実用上は変わりありません。画面全域では、エンブレムのある位置は画面全体の周辺に位置するので、中央部ならに画質はさらによいでしょう。
≪作例3≫いつものマンション:RF24~105mmF4 L IS USM、焦点距離24mm。F9・1/320秒、ISO 100、AWB、手持ち撮影。

≪作例4≫ いつものマンション:RF35mmF1.8 Macro IS STM。F8・1/400秒、ISO100、AWB、手持ち撮影。ズームの24mm時とは画角が異なるため、撮影は後ろに引いた距離で行いました。
画面中央にピントを合わせていますが、このマンションのカットからは、立体的な描写での解像感、マンション屋上アンテナの解像感と色収差、画面左上の白いビル壁面の写り具合(解像と階調)、ディストーションの発生具合などを見ることができます。

■ランダムな被写体を撮影したら
今回使用のレンズは、RF24-105mmF4 L IS USMとRF35mmF1.8 Macro IS STMとの2本ですが、RF35mmF1.8の発売は1か月ほど遅かったために同時の入手ではありません。それぞれミラーレスならではの光学設計ということで、ショートフランジバックで性能を発揮するというものです。このうちRF35mmF1.8は“マクロ”と称されているように最大撮影倍率0.5倍までのクローズアップ撮影ができるというもので、いろいろと楽しく遊べそうです。≪図1≫には、それぞれのレンズ構成を示します。
●RF24~105mmF4 L IS USMレンズにて

≪作例5≫ つつじのなかの葉っぱ:焦点距離76mm、F4・1/160秒、ISO 100、AWB、手持ち撮影。撮影距離などからすると、ここでわかるのはボケ具合でしょうか、描写は準望遠ですなおです。

≪作例6≫ 写真仲間の“宝槻稔さん”の個展「道具の力」のオープニングにて:焦点距離33mm、F4・1/64秒、ISO 640、AWB、手持ち撮影。お2人の肌の再現色も柔らかく自然で、シャツはどちらも中間調ですが、拡大すると生地の目が繊細に描写されました。画素等倍にして、㊨宝槻さんのシャツを見るとISO640に増感されたためでしょうか、わずかにノイジーな感じもしました。

≪作例7≫ 黄葉:焦点距離24mm、F8・1/250秒、ISO 100、AWB、手持ち撮影。3本のイチョウの黄葉の進行具合がそれぞれなので撮影しました。画素等倍まで拡大してみると、1枚1枚の葉がしっかりと解像しています。

≪作例8≫ 新年のお囃子:焦点距離42mm、F4・1/60秒、ISO3200、AWB。大晦日の晩、2年参りをするために近所の神社に出向いた時の子供たちの祭囃子です。1月1日の午前0時10分の撮影です。撮影はキヤノン独自のFvモード。照度的に背後にはそれなりに光がありますが、手前の子供達には十分に光は回っていませんが、あえて露出補正なしで撮影してみました。シャッター速度が1/60秒なので、お面をかぶっている子供2人をある程度拡大してみると、手先を始め全体にブレているのがわかります。いわゆる被写体ブレなのです。もちろんシャッター速度を上げれば良いのかもしれませんが、まずはFvモードでそのままシャッターを切った結果です。ただこのカットで気になるのは、舞台4辺の柱が糸巻き型に歪曲して見えるのです。焦点距離42mmですから、24mmの樽型から、42mmの糸巻き型へと切り替わりがかなり早いと感じました。

≪作例9≫ わが町から見える富士山:焦点距離105mm、絞りF8・1/500秒、ISO100、AWB、手持ち撮影。前機種のレポートで夕日を写したら、何か違うと感じたのです。もともと一眼レフ時代にはそのようなことはなかったのですが、レポートを読んだ方からミラーレスはみんなそうなのでは?といわれました。今まで、先行ソニーではそのような印象はありませんでしたし、キヤノン最初のミラーレス機APS-C判の2012年に発売の「EOS M」ではどうだったかと思い出すと「北海道白老で撮影した夕日」が一番のお気に入りのカットでした。そこで今回のフルサイズEOS Rではどうかと、夕日を求めてご近所をブラブラして、さまざまな場面を撮影してみましたが、特別な露出補正はなくても、撮影時のファインダーを覗いた時の色づき、カメラ内再生時の色づき、パソコンモニターでの色づき、など大きく違いはありませんでした。
2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント
●RF35mm F1.8 MACRO IS STMレンズにて

≪作例10≫ 紅葉:F3.5・1/100秒、ISO100、AWB、手持ち撮影。手前の紅葉は鮮やかに、奥のテーブルの周囲の下草はボケ具合にムラがなく、色調的にも柔らかく再現されていました。ピクチャースタイルはスタンダード。

≪作例11≫ ツタの紅葉: F4.5・1/160秒、ISO100、AWB、手持ち撮影。右上のクモの糸にぶら下がった枯葉を拡大すると解像力の高さがわかります。

≪作例12≫ 野の花:F4.5・1/160秒、ISO100、AWB、手持ち撮影。最近接距離で撮影しましたが、右端の花は直径8mmぐらいです。花びらの内側に落ちた花粉がしっかりと解像しているのです。

≪作例13≫ 新宿の夜景:F1.8・1/100秒、ISO100、DWB、手持ち撮影、絞りF1.8開放で中央右の焼き鳥釜めしの看板にピントを合わせましたが、全体的にコントラストもあり、すごくシャープです。画面空がわずかにマゼンタ味を帯びているのは、ホワイトバランスをデーライトにセットしたためです。

≪作例14≫ 新宿夜景のボケ具合:F1.8・1/64秒、ISO125、DWB、手持ち撮影。絞りF1.8開放で手前の道路柵のポールにピントを合わせました。背後のさまざまな光源はきれいにボケています。左右周辺でわずかに口径食の影響がでていますが、F1.8と開放絞りで、撮影距離が近いため、ある程度は致し方ないでしょう。

≪作例15≫ チノパン: F1.8・1/60秒、ISO800、AWB、手持ち撮影。イスに座って撮影後にカメラを足の上に載せて遊んでいたら、シャッターを切るとこんな写真が撮れたのですが、絞りF1.8の深度がよくわかるのです。さらに画素等倍に拡大したらビックリです。カットを見てわかるのは、深度は拡大率によって変わるということです。

●ミラーレスならではの瞳AF
ミラーレスになってうれしいことは、使う人によってさまざまですが、一眼レフになくて、ミラーレス一眼にあるのは、顔認識であり、瞳AFです。先日も、仕事で学校写真を撮っている女性カメラマンから、やはりミラーレスでなくてはダメでしょうかね? と聞かれました。なくても何とかなりますけど、かなり気軽に撮れるようにもなるかもしれませんね。そして特定の人物を記憶させて追いかけることもできますから、と答えました。一般の人でも、ポートレイトを撮る人にとっては便利この上ない機能です。早速EOS Rでの顔認識と瞳AF機能を使ってみました。この機能、自宅でセットアップして機能チェックをするときには、パソコンモニターに、大きく顔を映し出し、画面の顔をとらえ、さらに近づくか、ズームして瞳にAFフレームが行ったときに、瞳にピントが自動的に合うことになります。今回は運よく、モデル撮影会に誘われましたので試してみました。浜松町日の出桟橋から浅草までの水上バスのデッキでの撮影です。レンズはRF24~105mmF4 L IS USMですが、焦点距離105mmで撮影しました。
≪作例16≫瞳AFの効果:焦点距離105mm、絞りF5.6・1/250秒、ISO100、AWB。瞳AFが働くのはだいたいバストショットあたりからで、さらに近づくとより認識能力があがります。それ以上離れていくと顔認全体をとらえる識機能が働くのですが、条件にもよりますが、縦位置の全身ぐらいまでは顔認識が働きました。作例15では、わざと顔を少し右に寄せていますが、最初から右の顔の瞳にピントが合うわけでなく、まずはフレーミングで中央に顔を配置し、顔認識から瞳認識に移ったところで、顔を右方向にずらしていくと瞳認識のAFフレームが追随してくるので、ちょうどよいという所でシャッターを切ります。このカットでは≪写真5≫に示すように向かって左側の目に合わせていますが、画素等倍まで拡大すると右目にピントがあり、左目は微かにボケています。この差をプリントにだすとするとかなり大きく伸ばす必要があります。

■キヤノン純正マウントアダプターで一眼レフ用EFレンズを付けてみる
キヤノンの純正マウントアダプターは4種あり、マウントアダプターEF-EOS R(15,000円)、コントロールリングマウントアダプターEF-EOS R(30,000円)はボディとともに発売されましたが、ドロップインフィルターマウントアダプターEF-EOS R:円偏光フィルター付き(45,000円)、可変NDフィルター付き(60,000円)の2種は2019年の2月下旬です。ここでは最も基本で安価な“EF-EOS R”アダプターを純正EFレンズと、交換レンズメーカーのシグマとタムロン製のものを使ってみました。
≪写真6≫には、左からタムロンAF28~200mmF3.8-5.6 ASPH.LD(IF)、EOSRとアダプターに取り付けられたキヤノンEF28mmF2.8、シグマEX DG20mmF1.8を示しました。このうちキヤノンEF28mmF2.8は1987年発売のEOS650に合わせて買ったレンズですから、かれこれ30年以上前のものです。APS-C判のEOS MのマウントアダプターEF-EOS Mの時もそうでしたが違和感ない仕上げでしたが、さすがマウント口径が大きくなった分だけ、段差があるのは致し方ないというところでしょうか。
そのAF作動ですが、純正のキヤノンEFはいうまでもなく、サードパーティーのタムロンもシグマもおもしろくないほどすべて動作するのです。いずれの3本ともUSMでなくモーター式のものですから、その古さはお分かりいただけるでしょう。さらに、手元にあったEOS650発売直後の複数の望遠系シグマAFレンズ、タムロンSP AFマクロ90mmF2.8(72E、1996年)もすべてAFは動きました。これはシステムを考えたキヤノンがすごいのか、それに追随したシグマやタムロンがすごいのかということですが、少なくとも30年間不動であるわけですからすごいことです。
ところで冒頭にも書きましたが、レンズ交換するときボディの電源がOFFだとシャッター羽根が降りて撮像素子が直接露出していないのです。これはマウント基部から撮像面までの距離が短いショートフランジバックのボディにおいては、すごく安心感ありました。また、EF側の電気接点は8個、EOS R側の電気接点は12個、好奇心旺盛な人はどのように端末処理しているか、開けてみたくなりますね。そして、マウントアダプターが丸いのも、私は好感もてました。ソニーのアダプターのように内部に絞り羽根制御、AFカプラーのためにアクチュエーターが3つも組み込まれているときは下に出っ張っていても致し方ないですが、キヤノンは単なる電子回路だけでしょうから、丸い方がボディを固定したままレンズ交換できますから、カメラポジションが変わらず、光軸も動かないのです。
■サードパーティのマウントアダプターを使ってみました
ミラーレス機のもうひとつの魅力(僕にとっては一番)は、マウントアダプターを交換することにより、各社のさまざまな交換レンズが使えることです。このうち僕にとって最も魅力は、レンズが小型のライカMマウント用アダプターです。これはEOS R発売と同時に焦点工房とKIPONから発売されていましたので。ここではKIPON製のL/M-EOS Rを使ってみました。価格的にはどちらも同じで、カメラもそうかもしれませんが、こちらも早いもの勝ちであり、価格競争も熾烈です。サードパーティーの対応マウントの種類は豊富で、KIPONは28種、焦点工房は8種用意しているようです(2018年12月現在)。
さっそくライカMマウント用アダプター介して、お気に入りのライカズミクロン35mmF2(第2世代)を付けてみました≪写真7≫。取り付けは特に変わったことはありません。ただ、EOS Rの手ブレ補正はデュアルセンシングISと呼び、レンズ側のジャイロセンサーに加え、カメラのイメージセンサーからもブレ量を検出して、2つの情報を比較解析することで、レンズ側で検出できなかったブレも高精度に検知、補正可能になり、レンズの光学ISと合わせて最大5段分の補正を達成したというのです。この手ブレ補正は、2018年9月現在で「RF24~105mmF4 L IS USM」と「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」のみ対応可能となっているので、マウントアダプター使用時の他社レンズでは手ブレ補正は効かないことになります。
■マニュアルフォーカスでのピント合わせ
実は、ミラーレス機の場合、マニュアルフォーカス時のピント合わせがやりやすいか、やりにくいかは僕の場合は大きな注目点となります。ミラーレス一眼になって、一番驚いたのはレンズのピントというか、許容錯乱円という考え方が、ある意味根底から崩されたのです。例えば、28mmという焦点距離のピント合わせは、フィルムカメラ時代はパンフォーカス的にざっと合わせればよかったのですが、実際撮影後のデータを拡大して見ますと、やはりピントというか合焦点は1点しかないのです。私の経験では、焦点距離10mmとか15mmでも、F8とかF11に絞っても、やはりピントは1点なのです。もちろん、プリント拡大寸法(鑑賞サイズ)をどのくらいにするか、鑑賞距離をどのくらいにするかによっても、大きく変わりますが、デジタルの画質評価はパソコンモニター上の画素等倍であり、展示はA3ノビがスタンダードサイズで、必要によっては畳1畳ぐらいのプリントも簡単にできるのがデジタルなのです。一度、この大伸ばしの魅力を知ってしまうと、ピント合わせはマニュアルでしっかりと合わせようとなってしまうのです。もちろんこれだけの大きさに拡大するためには、ピントがしっかり合っていて、ブレのないことが重要になります。
特に僕の仲間は、オールドレンズを使う人が多い(フルサイズミラーレス一眼の神髄はここにある)のですが、このマニュアルでの拡大ピント合わせがどれだけ行いやすいかが、チェックポイントなのです。その利用法は、純正のレンズの場合にはレンズのフォーカスモードスイッチはAFでもMFでもよく、マウントアダプターによるMFレンズの場合にも、≪写真4≫に示したように、ボディ右肩背面のルーペマーク脇のAFフレーム拡大縮小ボタンを押した後に、INFOボタンを押すことにより5倍の拡大表示となり、ここでメイン電子ダイヤルを左右に回転させることでフォーカス位置を左右に、サブ電子ダイヤルを左右に回転させることにより、上下方向に動かすことができるのです。この操作は、背面右の十字キーでも行うことができ、電子ダイヤルの場合は大きく動き、十字キーでは細かく動くので、使い分ければよいわけですが、背面液晶のタッチシャッターをoffにしてあれば、指で任意の場所を押すとフォーカス位置はワンタッチでその場所に設定できます。そしてフォーカス位置が決まったら、さらにINFOボタンを押すと、5倍⇒10倍⇒全画面表示と変化させられます。さらに“AFフレーム拡大縮小ボタンの押し込み”でも全画面表示になりますが、これら操作は若干の慣れを要します。やはり、5倍、10倍のポイントで、ここぞと思ったら、シャッターボタン半押しで一気に全画面表示に戻れれば、シャッターチャンスは倍増するのにと思うわけです。ここは、なぜかニコンZ7も同じですが残念です。
■オールドライカ用広角レンズとの相性
ミラーレスになって最初に問題になったのが、画面周辺での減光とマゼンタ色への色付きでした。これは距離計連動のライカタイプのAPS-C判のころからあった問題で、フルサイズミラーレス一眼でも、初期では一部にこのような現象が現れる機種もありました。その原因はレンズだけではなく撮像素子にもあるようで、撮像素子の開口率の問題などで、裏面照射タイプになってからこのような現象はあまり見られません。このような現象は、マウントアダプターを使った一眼レフの交換レンズでは見られないことですし、ライカタイプでも広角でオールドに属するものだけに発生する現象です。そして広角といっても焦点距離にすると35mmを境にして、周辺での減光とマゼンタ色への色付きがでてきます。同じ焦点距離35mmのレンズでも被写体によっては気にならないこともあり、モノクロで使用するならまったく問題ないわけです。このあたりをどう考えるかですが、そもそもオールドレンズを使う人はモノクロ派であったりするわけで、それはカメラを使う側がどのように使うか、ミラーレスフルサイズに何を期待するかであるわけです。



≪写真8≫には、左からフォクトレンダースーパーワイドヘリアー15mmF4.5 ASPH.(1999)、フォクトレンダースーパーワイドヘリアー15mmF4.5 ASPH.Ⅱ(2010)、キヤノン25mmF3.5(1956)、IBERIT24mmF2.4(2018)を示しました。()内は販売開始年です。
そしてタイトルに書いたように、広角でオールドなレンズに関係してくるのです。そこで、1999年に発売されたコシナの超広角レンズの「コシナ・フォクトレンダースーパーワイドヘリアー15mmF4.5 ASPH.」≪作例17-左≫と1956年に発売されたライカスクリューマウントの当時としては広角大口径交換レンズだった「キヤノン25mmF3.5」≪作例18-左≫で具合を見てみました。特にこのような現象は、ライカマウントの古いレンズタイプの時に発生するわけで、新しい設計のレンズではどうだろうということでコシナ・フォクトレンダースーパーワイドヘリアー15mmF4.5 ASPH.Ⅱ(2010年)を用意しました。この15mmレンズは、最初はフィルムカメラの時代に登場し、デジタルになって改良のⅡ型がでたわけで、まさにこのような現象に対する対策品であるわけです。また「キヤノン25mmF3.5」に対しては、焦点距離が近似しているとしてKIPONの「IBERIT 24mmF2.4」用意しました。このレンズは登場が2018年なので、デジタルを意識したライカMマウントレンズであるわけです。
結果は、≪作例17-右≫と≪作例18-右≫ご覧になればおわかりのようにデジタルカメラに向けて光学設計が新しければ、より超広角でも問題ないわけです。ただここで色付きのあった同じレンズを他機種で使うと周辺での減光はあっても、色付きのない機種(ボディ)があるのも事実で、このあたりは裏面照射タイプの撮像素子を使った機種に見られます。ライカタイプの古いレンズなどは使わないという人にとっては、まったく問題ないのですが、やはりカメラの楽しみ方いろいろですから、ここはカメラ製造にルーツを持ち、撮像素子から一貫してカメラを製造しているキヤノンにはエールを送るとともに、いまひとつの頑張りをと願うわけです。
とはいってもやはりマウントアダプターを使っての広角系クラシックレンズの描写は気になるところですので、一眼レフ用を含めて、もう少し掘り下げてみました。


用意したのは、僕のお気に入りの第2世代ズミクロン35mmF2(1969年製)とM42マウントのレビューノン24mmF4(1960年代)です。それぞれマウントアダプターを付けてEOS Rに取り付く状態でセットしてあります≪写真9≫。特にレビューノン24mmF4は本来の一眼レフに付けるままの状態ですと、薄くコンパクトレンズなのですが、ショートフランジバックのEOS Rに装着できるようにすると右のように長くなります。
≪作例19≫第2世代ズミクロン35mmF2(1969年製)、F5.6・1/640秒、ISO100、AWB、三脚使用。お気に入りのズミクロン玉です。いわゆる、第2世代の6枚玉です。約50年前のレンズですが解像力も高く、マニュアルフォーカスになることを気にしなければ、小型・軽量のレンズであり重宝しています。結局、ライカには連動距離計が付いていますが、フルサイズミラーレスカメラだったわけです。画像で拡大するとかなり解像力が高いことがわかります。周辺光量の落ち込みは、画面そして解像力はズミクロンの方が高いのです。これは画面中央に輝度の高い白い飛行機、マンションがあるためにそちらに露出が振られており、周辺は落ち込んでいるように見えますが、被写体状が変わればごく普通のレンズ描写になるはずです。

≪作例20≫レビューノン24mmF4(M42マウント)、F8・1/400秒、ISO100、AWB、三脚使用。ドイツの写真販売業者フォトクエレ社向けに、エナ社が1960年代に製造したM42マウントの35mm用一眼レフ用レトロフォーカスタイプの24mm超広角レンズです。撮影は上のズミクロン35mmと同じポジションで、同じ飛行機のプロペラエンジン脇にピントを合わせてありますが、F8に絞っていても解像力はズミクロンの方が高いのです。さらにマンション屋上手すりなど見ると背景のボケ具合はレビューノン24mmの方が大きいのです。画面周辺の光量の落ち込み具合はズミクロンと同様に画面中央に輝度の高い飛行機、マンションがあるためにそちらに露出が引っ張られており、普通のレンズ描写で、大きく変わりはありません。
第2世代ズミクロン35mmF2、レビューノン24mmF4とも、いずれもオールドレンズですが、撮影結果は十分に写真として許容できる描写範囲だと思います。

■ミラーレス一眼のサイレントシャッター
サイレントシャッターモードで撮影すると、電子シャッターを使用して、シャッター動作音と振動のない撮影ができるのですが、動体では歪みがあるように撮影されることもあります≪作例21≫。したがって、大きな動きのある被写体には向きませんが、音楽会や踊りなどで大きく動かない決めポーズなどでは静かなので大変有効です。この歪み具合は、撮像素子の特性、被写体の走行方向、走行速度、撮影距離など相対的な部分で決まることが多いのです。このような歪みをローリングシャッター現象と呼びますが、いまのところミラーレス機全般に見られ、今後の技術的課題といえます。
■フルサイズミラーレス一眼はどこへ向かうのか
押せば写る時代にあって、限られた時間で最新のカメラに対し、それなりの考えを示すのは難しいことです。したがって、すべてにわたってカメラを見ることは不可能なことであって、あくまでも私がこのカメラを使う視点でレポートを進めてきました。
今から5年前の2013年の11月にソニーα7Rが発売されたときに、われわれの写真仲間はこぞってこのカメラに手を出しました。それはマウントアダプターを介することで、過去に見捨てられたさまざまなレンズで高画素な写真を撮ることができるようになったことに注目したのです。そして現在までの進化の過程では、ライカM・Sマウントの広角レンズが事実上使えないという困難もありましたが、第2世代機ではほとんど解消され、今では忘れ去られた事象というぐらいになりました。そしてこの5年間、多くのユーザーが言い続けてきたのは、ミラーレスフルサイズ一眼で小型化をというのでした。
その点においてはEOS Rも十分にクリアしているのですが、この時期ミラーレスフルサイズ一眼に参入のキヤノンもニコンも撮影光学系は、高画質・高級路線へと向かったのです。もちろん、単なる小型・軽量ですと自社のAPS-C機との差別化も難しいでしょうが、いわゆるかつてパンケーキレンズと呼ばれたような薄型の交換レンズが1本あったらいいなと思うのです。もちろんキヤノンとしては「RF35mmF1.8マクロIS STM」がそれにあたるということなのでしょうが、もっと薄くてグリップ部の前面と同レベルのような薄型レンズがあると、凸型した一眼レフのイメージから箱型の収納しやすい形になると思うのです。いずれにしても、スタートしたばかりのミラーレスフルサイズ一眼ですが、今回使用したRF24~105mmF4 L IS USM、RF35mmF1.8マクロIS STMのほか、RF28~70mmF2L USM、RF50mmF1.2L USMの合計4本が発表されているわけですが、既存のEFレンズとの互換のなかでどのようなRFレンズがさらに追加されていくのか興味深い点で、それがこれからのフルサイズミラーレス一眼の向かう方向になるのだと思うのです。 (^_-)-☆
