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カメラ温故知新

田中長徳のカメラ温故知新 vol3アテネでライカとらいかを使って分かったこと

コーナー名
カメラ温故知新(田中長徳 連載コラム)
対象機材・テーマ
田中長徳のカメラ温故知新 vol3アテネでライカとらいかを使って分かったこと
概要・導入
来年の8月からオリンピックが開催されるアテネです。 あれから40年も経過したので、オリンピックくらいで胸がときめくことはなくなりましたけど、ライカとらいか(かたかな表記は、国産のRF機のことを言います)のことを思うと、相変わらず、胸がときめきます。 そのアテネでは、もう来年がオリンピックだから、街はオリンピックムード一色かと思いきや、盛り上がりなんてないんですね。私は18日もアテネに居たのに、その間、

1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

アテネに行っていました。

来年の8月からオリンピックが開催されるアテネです。

あれから40年も経過したので、オリンピックくらいで胸がときめくことはなくなりましたけど、ライカとらいか(かたかな表記は、国産のRF機のことを言います)のことを思うと、相変わらず、胸がときめきます。

そのアテネでは、もう来年がオリンピックだから、街はオリンピックムード一色かと思いきや、盛り上がりなんてないんですね。私は18日もアテネに居たのに、その間、
五輪のポスターを見たのは2枚だけなんです。私は普通のツーリストではなく、ライカを持ってアテネの町中を端から端まで歩いている人間ですから、見落としはあるにせよ、このポスターの数の少なさには驚愕しました。

ようするに、近代オリンピックを1898年に開催しているアテネは、五輪慣れしているという感じなんです。オリンピックが来ると言って騒いでいるのは、「開発途上国」ということになります。

さて、今回アテネに持参したのは、35RF機が2台。

1台はローライ35RF、もう一台がライカM4でした。

ローライはアサヒカメラの連載の仕事で、これにプラナー80ミリF2,8を付けてモノクロを撮影する必要があったからです。もう一台のM4の方は、これにタンバール90ミリF2,2と付けてこれでカラーを撮影する必要があったからです。

80ミリと90ミリのレンズはそれぞれのボデイに装着されていて、これを交換して使うようなことは、一切しませんでした。

こんな風に書くと、いかにも大げさで融通が利かないような、じじいライカ遣いのように聞こえますが、私も50台の半ばですから、今後はどんどん「融通の利かないライカ使い」になろうと、2003年の年頭を期に決めました。

この世の中は、デジカメ方面では、あまりに融通が利きすぎてしまって、融通が利くとか便利であるとか、手軽であるとかいうのは、人間というものはそういう便利さにはすぐに慣れてしまうものですから、結局、技術の進化というのは、そのモノが登場した時に目新しいだけで、すぐに陳腐になってしまうものです。

その点、ライカは、1925年の登場以来、とは言わないものの、1954年登場以来のライカM3から、2002年のライカM7まで、基本は何も変わっていません。私のような何十年もライカを使っている人間に言わせれば、M7でオート化されたなどと言うことだって、単なるマイナーチエンジに過ぎないのです。

それで、ローライ35RFにプラナー90ミリの記事は、アサヒカメラの3月号を見ていただくとして、ライカM4にタンバールで撮影した話になるのですが、このレンズ、偽ライカ同盟の坂崎さんが持っているんです。(目下、坂崎さんを2月23日のトークショーに拉致しようと画策中)

その坂崎タンバールを前から羨ましいと思っていたら、昨年の秋の「クラシックカメラ共和国」建国記念式典の後の大祝賀会で、私を撮影してくれた京都のライカ人類さんが、やはりブラックのM2にタンバールで、私のことを撮影してくれたので、それを見てまた欲しくなりました。

そういう一念が通じたわけでもないでしょうが、最近、タンバールを手に入れたのです。こういうレンズは、とにかくとことん使い込んで見ないとその良さは分からないであろうというので、今回の「アテネ・デ・タンバール」を勝手に企画して出かけたというのが真相です。

言い得て妙と言いますが、このレンズは奥が深すぎる。

一般には、軟焦点レンズと思われていますが、絞りをF9よりも絞り込むと、これはなかなかシャープさの中にソフトな芯のある描写(この言い方も普通の言い方とは逆ですが)をします。何でも、レンズメーカーの専門家に聞いたら、世の中に沢山ある、ソフトフォーカスレンズの中で、唯一、球面収差の補正を逆にしてあるのが、このレンズだけなんだそうです。

肝心のボデイのライカM4は、実は気を付けないとフィルム装填で失敗します。

例の切り欠きのある、フィルム巻き上げスプールは、ただフィルムを差し込むだけでは、フィルム送りの事故が起きます。しかもM4は(これはM6や、M7でも同様ですが)スプールにフィルムが巻き付いたような事故の場合、スプールを取り出せないのでやっかいです。ライカM5の場合には、スプールが取り出せるので、この点は問題なし。

今回もフィルム装填に気を付けながら、アテネを、M4で撮影しました。

ついでに付け加えるなら、私はメーターは使いません。露光は全部、勘でオーケイ。

帰国したら、メデイアジョイさんから小さな封筒が届いてました。開けて見たら、M2やM3用の

クランク巻き戻しアダプター

です。早速、ライカM2に付けたら、これは具合がよろしい。それで、M2を限りなくM4に近づける為に、ライツ製のラピッドローデインングアダプターを、付けました。こうなると、何かM4よりも使い易い「ライカM2改」が出来上がって、それはそれでなかなか満足なのです。