クラカメ探検隊 · 中判
KODAK-MEDALIST
1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

今回ご紹介するのは1941年、アメリカのコダック社からでた軍用機、メダリストのI型です。
コダックといえば現在でもそうですがフィルムの一大メーカーとして有名ですが、このメダリストが発売された頃までは、フィルムの消費を促すような大衆機が主な製品でした。1930年代初め頃から、ドイツではライカ、ローライ、コンタックス等が精密な小型カメラを次々に開発し台頭してくるようになり、アメリカのコダック社、グラフレックス社といった2大カメラメーカーも小型化、精密化へと進んでいきました。世界大戦時代ということもあって、カメラも日用品から軍需品として扱われるようになり、そんな時代の中で開発されたのがメダリストや、35mm判ではエクトラといったプロ用高級カメラなのです。
機能としては、ファインダーは一眼式距離計連動で軍用型二重像合致式、パララックス自動補正、620フィルムの自動巻止めとシャッターのセルフコッキング、そしてプロを対象としているといえるカメラバック交換型。裏蓋をはずすと、シートフィルム用、フィルムパック用に付け替えが可能と、多彩な機能を搭載したカメラなのです。
しかしなんといっても、一番の魅力はエクター100mm/F3.5というレンズでしょう。このレンズが使いたいが為に、このメダリストを手にするという人も少なくはありません。大きなダブルヘリコイドで焦点をあわせます。
メダリストは6×9判カメラとしては比較的小型なのですが、重量があり(2ポンド15オンス=1.34kg)軍用機ということもあって、『プロ用重戦車』と異名をとったカメラでもあります。
●6×9判リジッドカメラ
●使用フィルム:620ロールフィルム ../620film/index.html
●620フィルム編
参照
●レンズ:コダック・エクター100mm/F3.5、ダブルヘリコイド式
●シャッター:コダック・スーパーマチック(B・1〜1/400)
●サイズ:H95.3×W136.6×D111.2mm、1.34kg
●1941年発売、イーストマン・コダック社(アメリカ)
2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント


ボディ上部から見たメダリストです。
- セルフタイマーセットレバー
- 絞り調整レバー
- シャッタースピード調整ダイヤル
- フィルムインジケーター
- 距離スケール
- フイルム巻き上げノブ
- フィルムカウンター
- シャッターレバー
- フィル巻き上げ確認用の小窓
- シャッターロックレバー
- シャッター
シャッターに付属しているレバーを右にしておくとシャッターがロックされます。メダリスト2型にはありません。


フィルム装填からみていきましょう。
ボディ両サイドのスプリングキャッチをはずします。

左に巻取り用スプール、右に620ロールフィルムをセットします(軸受けはありません。放り込むだけです)。 (コダック社はカメラの小型化のため120フィルムよりも細軸の620フィルム仕様にした。)


リーダーペーパーを引き出し巻き取りスプールに差し込みます。(フィルム巻き上げガイドには鋭い歯車がついています。)この時、フィルムカウンター用のローラーは回さないように気を付けます。


裏蓋を閉め、ボディ後ろのボタンをスライドさせると丸い赤窓が見えます。そこに1がでてくるまで巻き上げます。フィルムカウンターを1にあわせ、巻き取りノブをカチッという音がするまでやや強めに回しておきます。

一枚目の撮影の時だけファインダー下のレバーを左にひいておくと(バネですぐ元に戻ります)、後はフィルム巻き上げと同時にシャッターがセットされます。(セルフコッキング)

カメラ上部のファインダーの右の小窓でフィルムの巻き上げの確認ができます。撮影可能な状態の時は赤、レリーズすると白になります。


絞りをあわせます。


シャッタースピードをあわせます。
赤色の数値にあわせる時は赤の矢印、黒色の数値にあわせる時は黒い矢印のところをみてあわせます。
B・1〜1/400秒まで。



ピントをあわせます。ファインダーは上下に分かれており、上部がビュ-ファインダ-、下部が連動距離計用、パララックス自動補正の二重像合致式となっています。
ファインダー右横に、距離スケールがあります。また、微調整はレンズ右下にある小さなヘリコイドノブで行います。
撮影の際、ある程度ヘリコイドノブでレンズを繰り出してやらないとシャッターが下りないので注意が必要です。

撮影が終了したら、後部の赤窓をのぞきながら最後までフィルムを巻取ります。

フィルムを取り出します。

この裏蓋をはずしたところにアクセサリー交換バッグをつけると、乾板、シートフィルム、パックホルダー等の使用が可能となります。
取り付けの際には、上端中部に設けられた距離計補正用の突起をボディ側の穴に差し込むようにします。


アクセサリーバッグのファインダーにはピントグラスもついています。

軍用ということもあって、技術的に高度な仕組みを備えているだけでなく、簡単なフィルムの装填、使用中にゴミ等の入りにくい二重構造のレンズ、そして頑丈なボディをもったメダリストI型。
今回はこれでおしまいです。
