ライカに始まりライカに終わる · 連載コラム(市川泰憲)
第五十回「6,100万画素「ソニーα7R IV」をサードパーティレンズで使ってみました」
1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

9月6日に発売された「ソニーα7R IV」は、35mm判フルサイズでは最高の6,100万画素です。画素数の増えた4世代目のα7Rボディはどんな写りを示すか、ソニーFEマウント用でAF対応のサードパーティレンズで使って試してみました。カメラの実力が活かされるのか、レンズの実力が発揮されるのか、いつものように使ってみました。
取り上げたレンズは、いずれもミラーレスフルサイズ専用設計で、≪写真1≫で左から、サムヤンAF35mmF2.8FE、シグマ45mmF2.8DG DN、タムロン17~28mmF2.8 Di III RXDです。このうちサムヤン35mmF2.8は2017年8月の発売と少し時間が経っていますが、シグマの45mmF2.8 は2019年7月の11日に発表されたシグマfpと同時に発表され、まずはソニーマウントで発売というわけです。タムロン17~28mmF2.8はタムロン最新のモデルで、やはりこの7月発売ですが、予想を大幅に上回る予約で生産が追い付かないとお詫びをだすほどの人気レンズです。すでにどちらも発売されてから時間が経過していますが、改めて6,100万という高画素で使ったレポートです。
とはいっても、ここは「ソニーα7R IV」が発売されたことによるレポートですので、まずはボディそのものから見てみましょう。α7R IVは何が新しいのか、ソニーによれば『ライカ判で初の有効画素数約6,100万画素、最高約10コマ/秒高速連写、高速・高精度AFを小型ボディに凝縮したフルサイズ一眼』ということになり、このためには『新規シャッターユニット、衝撃吸収ダンパーや進化した手ブレ補正など、微細な振動も許されない高解像撮影を支えるために細部にわたって見直しました』というわけです。
高画素だとデータ量が増えるので連写速度は厳しくなるでしょうし、さらにボディ内でシャッター動作により振動があるとカメラブレを起こすことにもなり、いまやあたりまえの考え方ですが、初期の高画素タイプ一眼レフではさらにミラーショックなども加わり、高画質を達成するのに苦労した部分です。また低感度時には約15段のダイナミックレンジが得られるというのは裏面照射タイプCMOSと画像処理エンジンの能力であり、5.5段の補正効果を発揮する光学式5軸ボディ内手ブレ補正機構などと併せて、カメラとしての機能進歩は地味ではありますが、ユーザーとしてはその地味な部分の進化が大いに気になるわけでして、以下それぞれ3社のレンズを使っていくなかでレポートします。

≪写真2:左≫ 基本的にα7シリーズのデザインは正面から見る範囲では大きく異なることはなく、最新のα7RIVであることを明記してあるのはボディ左肩の上の銘板です。表面の加工はざらっとした感じで、ホールディング性も良く、グリップするとわずかにボディが厚くなったのがわかります。
≪写真2:右≫ SDカードスロットは2カ所。上がスロット1で、下がスロット2です。ここでの注目点は、ストラップの文字が刺繍になったことです。従来ソニーのカメラストラップはプリント文字しかなかったのですが、刺繍を採用することになったのは大きな違いです。
さっそく使ってみると、まず気づいたのが、ボディにレンズを脱着するのがかなり固いのです。実は前から思っていたのですが、α7Rから、α7R II、α7R III、α7R IVと進化するごとに徐々に固くなっているのです。この間にα9も使いましたが、α7R IIIとα7R IVの中間ぐらいの感じでした。しかし、今回使用したレンズをα7R IVに付けるといずれもかなり固く、両手でボディとレンズをしっかり握っても取り外すには僕自身の握力が弱くなっていることもありますが、かなりの力を要します。これはボディの剛性を増すことと同時に公差を狭めているかもしれませんが、α7R IVのレンズ着脱の固さは半端じゃありません。もちろん交換レンズメーカーによっても若干その強弱は異なり、サムヤン→ タムロン→ シグマの順で固くなります。ここにたまたま手元にあるソニー純正(CZ16-35mmF4ZA)を入れると、ソニーがトップに柔らかいのですが、これは私の手元にあるレンズだけのことではないと思うのです。いずれにしてもα7R IVでのレンズ交換には力がいります。

●タムロン17~28mmF2.8 Di III RXDで使う
タムロンのソニーFEマウント用レンズとして、2018年5月に発売された「28~75mmF2.8 Di III RXD」に引き続くシリーズレンズともいえるもので、従来このクラス前後のズームレンジを持つソニー・ツァイスのバリオテッサーFE16~35mmF4ZAから比較すると、ワイド・望遠端とも少し抑え気味ですが、ズーム全域でF2.8と大口径でコンパクト、しかも軽量なことには驚きます。
≪写真3≫ 左:ボディに装着、中:マウント基部を見ると、外周のすぐ内側に防塵・防水のためでしょうか黒いゴム製のひだがついています。右:専用の花形フードを付けてみました。フルサイズ用とはいえ、小型であるためにか撮影時は苦になりませんでした。

■いつもの英国大使館正面玄関
この場所の撮影は定点観測的に行っていて、春夏秋冬を通して青空の日、朝10時から10時半ぐらいの間に、英国大使館の正面玄関屋根中央直下のエンブレムにピントを合わせ、絞りF5.6に設定して撮影しています。撮影にあたっては、従来は三脚を立てていましたが、昨今のカメラではこのような状況下では手ブレすることもなく、手ブレ補正機能を含めたカメラの性能を知るということから、最近はすべて手持ちで撮影することにしています。
≪作例1≫ 焦点距離:28mm、F5.6・1/640秒、ISO100、AWB。前日は雨、午後から曇りの合間の晴れ間ですが、天候には恵まれました。まずは、17~28mmの最望遠側焦点距離28mm時を乗せました。直線性も良く、この画面からはディストーションなどまったく感じさせませんし、周辺の光量が低下するというのもありません。画面の各部を見てみてもこれといった難点はありません。左側の黄色いポールの発色が幾分濃く感じますが、これはソニーの一貫した色づくりによるものです。
上の写真を画素等倍まで拡大すると、広角だとこれから紹介するシグマとサムヤンは撮影倍率が高くなりますので、より解像感が高く感じるかもしれませんが、撮影距離が同じなので、そのようなことになります。この等倍画面からわかることは、6,100万画素にもしっかりレンズ性能がついていってることで、エンブレム周辺壁石の調子も飛んでなくきれいに描出されているのは、ダイナミックレンジが15段と広いといっているα7R IVならではの性能が多分に影響しているようです。

≪作例2≫ 焦点距離:17mm、F5.6・1/640秒、ISO100、AWB。レンズに目盛られている、広角側17mm、20mm、24mmも撮影しましたが、ここでは28mmに加え17mmときを紹介します。露出は同じ場面ですので変わりません。画素等倍まで拡大すると、エンブレムの大きさから撮影倍率の違いが分かります。

●ランダムな被写体で
≪作例3≫ ホテル、焦点距離:17mm、F6.3・1/160秒、ISO 100、AWB。 最広角端の17mmでの撮影ですが、青空の部分も光量落ちはないし、ほぼ逆光で、露出の設定の仕方にもよりますが、右側ビル壁面のハイライト部分は飛んではいますが、補正なしの状態でも玄関ロビーから出てきた人もつぶれなく描出され、ビル壁面左側もきれいに描出されています。左壁面の奥の方を画素等倍まで拡大するとわずかに色収差の影響がでていますが、アウトフォーカス部分でもあり、実用的にはまったく無視できるレベルです。

≪作例4≫ 半蔵門の御屋敷、焦点距離:28mm、F7.1・1/200秒、ISO 100、AWB。中央の樹木にピントを合わせていますが、拡大すると1枚1枚の葉が必要十分に分離して見えます。

≪作例5≫ ノウゼンカズラ、焦点距離:28mm、F4.5・1/80秒、ISO100、AWB。 ビルの飲食店の店先に咲くノウゼンカズラの花です。このレンズは、ワイド側で19cm 、テレ側で 26cmの近接撮影ができるというもので、かなりマクロ的な撮影もできます。このノウゼンカズラの場合には、28mmで撮影ですが、最も近接できるところまで近づいてこの範囲が写りますから、マクロレンズ的な使い方も十分できました。雌しべを画素等倍に拡大すると、花粉粒がきれいに分解して見えるほど解像力は高いです。

≪作例6≫ クヌギのどんぐり、焦点距離28mm:F8・1/320秒、ISO100、AWB。逆光状態で木のテーブルの上に並べた中央のどんぐりにピントを合わせてみました。フルピクセルで画素等倍までに拡大すると左背後の葉の葉脈まで描出される解像度をもっていることがわかり、背後の草のボケ味もクセがなく、テーブルのエッジの直線性もまずまずで好感持てる描写です。ボディの側から見ると、シャドー部も拡大するとわかりますが、つぶれていなく低感度時は約15段のダイナミックレンジが得られるというのは、このあたりをいうのでしょう。

≪作例7≫ ほっこり広場にて、焦点距離24mm:F6.3・1/160秒、ISO100、AWB。夏草の生い茂る中のベンチとテーブル。人はいませんが、人の温もり感じさせる場所です。画像を拡大して見ると、周囲の草1本1本が解像している均質のシャープさには驚きます。

≪作例8≫ 八国山のきのこ、焦点距離28mm:F2.8・1/120秒、ISO50、AWB。 山の麓を歩いていたら、切り株にきのこが自生していたのでクローズアップ撮影。何も考えずにフレーミングとピントだけを確認しましたが、ISO50なのにブレずに高解像に撮影できました。まさにカメラとレンズの合体で撮影できたというわけです。

≪作例9≫ 国宝正福寺、焦点距離:28mm、F8・1/80秒、ISO 100、AWB。かつて画素数が少なかった頃には屋根に吹かれた杉板の重なった目にモアレが必ず発生した時期もありましたが、今回のα7RIVとの組み合わせでは、タムロン、シグマ、サムヤンのいずれも目立ったモアレの発生はありませんでした。このクラスの画素ピッチになると光学ローパスフィルターは不使用でよくレンズ性能そのものを引き出すことになります。

≪作例10≫ わが町の富士山頂上のケヤキ、焦点距離26mm:F6.3・1/160秒、ISO50、AWB。同じ場面をかつて、CZ16~35mmF4で撮影したことがありますが、中央ケヤキ大木の右下枯れ木の枝が色収差の影響か赤くなりました。カメラはα7RIIでしたが、α7RIVとタムロン17~28mmF2.8 Di III RXDの組み合わせではそのようなことはありません。拡大して見ると木々の葉はきれいに分離して見えることは当然のことでした。

≪作例11≫ ご自身の作品「Player and Alter」の前に立つアーティスト小野サボコさん、焦点距離17mm:F2.8・1/30秒、+0.7EV補正、ISO500、AWB。 表面を細かく凹凸に加工されたアルミ箔の前に立っているので、明らかにアンダーになるだろうと+0.7の補正を加えてみましたが、露出補正なしでも拡散光状態なので反射が多いためでしょうか顔はつぶれることなく、まずまずの結果が得られました。(Roonee 247 fine artsにて)

≪作例12≫ 夜の新宿ゴジラ通り、焦点距離:28mm、F2.8・1/15秒、ISO 50、AWB。カメラ操作に慣れてないので、いつの間にかISOオートにしていたはずが、ISO50にマニュアルセットされていました。気づいた時には一瞬すべて撮影し直しかと思いましたが、ところがみごとにブレないでピントが合っているのです。ということでゴジラにピントを合わせてありますが、画素等倍にしてみるとびっくりするほどにシャープなのです。手ブレ補正機構の働いたカメラもすごいし、レンズもすごいといったところです。左の中央には海の家(かつてはマリンの家)と書かれた看板が見え、当時のマスターKさんの写真もあります。縁があって何度か通いましたが歌舞伎町にも40年も変わらない店があるのには驚きました。
ここにはタムロン17~28mmF2.8 Di III RXDで撮影の代表的な作例だけ掲載しましたが、使っていてズーム全域でF2.8という性能をもち、小型・軽量で描写特性も良いなど、素晴らしく好感を持てるレンズです。今回このレンズをα7RIVで使うと公言しましたら、2人のプロカメラマンから声かけられました。1人はすでに所有されていて、明るくても小型で、描写も良く安いからいいレンズだというのです。もう1人は女性でAPS-Cのボディで使いたいというのです。APS-Cで使うと25.5~42mmレンズ相当の画角となるわけですから、それはそれで使いやすいわけで、小型ズームレンズならではの発想でしょう。とはいっても、すべてがベストかというとそうではなく、ズームレンズとして広角・望遠端の歪曲はわずかながらあるのも事実です。ただこのような場面に遭遇するのはきわめて少なく、日常の撮影では気にならない範囲です。いずれにしても、この時期注文待ちという現実を垣間見た気がします。
2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント

●シグマ45mmF2.8DG DNで使う
昨今のシグマレンズでは、Artレンズが多く知られ人気ですが、このSIGMA 45mmF2.8DG DNは 、“Contemporary”というグループに属するレンズで、シグマによると『最新のテクノロジーを投入、高い光学性能とコンパクトネスの両立で、幅広い撮影シーンに対応するハイパフォーマンス・ライン』だそうで、Art、Sportsなどのラインに比べると性格が少しわかりにくいですが、コンテンポラリーの意味からすると現代的なとか言うことになるのでしょうか。このレンズは7月11に発表したシグマ初のベイヤー方式フルサイズセンサーを搭載したライカLマウント仕様の「シグマfp」と同時に発表されたもので、ソニーマウント用としてfpボディより先に発売されたのです。
≪写真4≫ α7R IVボディに装着。レンズ先端のローレットはマニュアルフォーカスリングで、その左側にはAポジション付きの絞りリングがあります。絞り値はF2.8~22までで、1/3刻みでクリックストップが効くのです。フードは約1mm厚のアルミ金属で、外側は平目のローレット加工が施され、内側には反射防止の溝が円周状に刻まれています。装着は位置合わせして45°の回転でクリックストップし、取り外しボタンはなく、単純にその逆回転だけで行え、ひっくり返してそのままレンズ本体にかぶせて収納できるのは楽です。

≪写真5≫ 左:カメラを構えてレンズ左側面にはAF/MF切替えのフォーカススイッチがあり、その上にはコンテンポラリーを示すcのマークが銀色に輝いています。右:マウント基部外周のすぐ内側には防塵・防水のためのシール材として黒いゴム製のひだがついています。
ご覧のように、レンズ外観からはオールメタル仕上げでメカそのものの感じで、直線を主体にして仕上げられています。このうちレンズ側のAポジション(AUTO、AE)と1/3段刻みの絞りリングは、ボディ側のモードダイヤルをA(絞り優先AE、マニュアル露出)にセットした時に機能し、プログラムAE、シャッター速度AEに設定の場合には絞りリングはどの位置にあってもボディ側から制御されます。

■いつもの英国大使館正面玄関
撮影はレンズを手にした日が遅く、タムロンとは別の日に撮影しましたので微妙に異なりますが、天候、時間、絞り値、フォーカスポイントなどすべて同じです。
≪作例13≫ 焦点距離:45mm、F5.6・1/800秒、ISO100、AWB。午前中は曇りの予報でしたがうまく晴れて青空となり、午後から曇りとなりましたが撮影の天候には恵まれました。画素等倍まで拡大した画像は、すでにタムロンの項で述べていますが、焦点距離が異なると撮影倍率が異なるので、焦点距離が長いほうが解像的には有利です。さてこの解像度は、過去同一条件で撮った中ではトップクラスの画像となりました。もちろんα7R IVの6,100万画素と45mmF2.8DG DNレンズのなせる業だと考えますが、過去の例からするとこの条件を超えているのは、シグマのクアトロHと35mmF1.4DG HSM Artであるというのもなんか皮肉なものです。このあたりの評価にはそれぞれ考えがあるでしょうが、「ライカに始まりライカに終わる」の他機バックナンバーを引き出してもらえれば幸いです。
■ランダムな撮影
さてこのレンズはシグマホームページのSEIN・大曽根語るで、描写として『ボケを美しくなだらかにするには球面収差が鍵となる。光学設計者からは、単に球面収差を「補正」するのではなく、球面収差を明確に残しつつしかも高度なコントロールを行い、特にボケが顕著に出やすい中~近距離では明確に球面収差によるフレアを発生させ像を滲ませる、という手法が提案された』となっていいます。絞り効果を効かせなく絞り開放でフレア成分が多いというと、私が知る限りでは過去に2本のレンズがあります。1本は、ヘクトール73mmF1.9(3群6枚構成、1932年)、もう1本はメディアジョイSOFT type1、90mmF2.8(1群1枚構成、シグマが設計製造したとメディアジョイから聞いています)の2本です。
この2本は、いずれも開放で使うとフレアがバリバリでボケボケの感じなのですが、ところが細部を拡大すると絞り開放でも素晴らしく解像力が高いのです。つまりどちらもソフトフォーカス系、絞り込むことによって、通常のレンズ描写になるというのですが、シグマの45mmF2.8DG DNでは、撮影距離が短いとフレアが発生し、0.7~1mあたりから解像の高いコントラストある画像が得られるというのです。絞り効果でなく、撮影距離によってフレアが制御される設計だというのが、クラシックレンズでなく、現代のレンズであるというわけです。レンズ設計の細かいことはわかりませんが、像面の湾曲にも関係あるのではということもありそうですが、まさにコンテンポラリーな現代レンズなのでしょう。そのあたりを念頭に置き、さまざまな場面で撮影した写真をお見せしましょう。

≪作例14≫ 夕暮れの新宿モード学園:焦点距離45mm、F2.8・1/50秒、ISO160、AWB。絞り開放場ですが、画素等倍に拡大して見ても、モード学園ビルの窓の輪郭もしっかりとして解像しています。とはいっても固い描写というわけではなく、全体的には柔らかな調子再現という感じです。

≪作例15≫ 西武園大観覧車、焦点距離:45mm、F8・1/400秒、ISO100、AWB。さすが絞りF8まで絞られるとシャープになります。解像力は絞り開放より数段絞ったF8、F11あたりで最も高くなるといった、昔からの法則通りです。観覧車の1つ1つを画素等倍まで拡大して見ると、中にいる人が識別できるほどの解像力です。6,100万画素とレンズの組み合わせででてくる解像性能です。

≪作例16≫ ボケの感じを見る、焦点距離45mm:F3.5・1/80秒、ISO100、AWB。背景のボケ味を調べるために右の花のつぼみにピントを合わせ、撮影距離は約30cmだったと思います。確かに、撮影距離が短い部分は描写が柔らかいようです。背後の女性は、柔らかなボケにとけ込んでしまいました。

≪作例17≫ サルスベリの花、焦点距離45mm:F6.3・1/250秒、ISO100、AWB。サルスベリの花が草の上に落ちていました。コンパクトやミラーレスのコントラスト検出AF方式のカメラだと、通常このような場面では花にピントがいかずに、背景に合うのですが、花びらが大きかったせいかしっかりとピントを合わせることができました。かなり近接していますが、合焦した部分はシャープです。

≪作例18≫ 枯れ木にツタ、焦点距離45mm:F5.6・1/200秒、ISO100、AWB。 枯れ木に絡まったツタにピントを合わせ、背景からぐっと浮き上がった感じを狙ってみました。ピントが合った場所のシャープさはなかなかですが、背景の樹木のボケ具合を見てください。特に葉の間から見えるボケは、木漏れ日を背景に絞り開放、近距離でフレアを発生させたポートレイト撮影などに良いかもです。

≪作例19≫ クヌギのどんぐり、焦点距離45mm:F7.1・1/320秒、ISO100、AWB。まったくの逆光状態ですが、同じ場面を撮ったタムロンと比較すると鮮鋭度は別にして、発色とコントラストがわずかに違うという感じですが、焦点距離の違いから背景の草のボケ具合が大きく異なります。

≪作例20≫ スタジオBT深谷さん、焦点距離45mm:F2.8・1/60秒、ISO100、AWB。中古カメラ市で、今若い人に人気だというフィルムカメラを持ってもらいました。近距離で球面収差を残した描写とは、こういう場面をいうのでしょうか。このカットだと、絞り開放で、前ボケも、後ボケもわかります。ここまで人物を近接すると、カメラが自動認識して瞳AFとなりました。実際は、向かって左の目を認識し合焦しています。ピントから外れた髪は柔らかな描写をしています。ボケはきれいでも顔は見にくいなんて言わないでくださいね。

≪作例21≫ 国宝正福寺、焦点距離:45mm、F8・1/80秒、ISO 100、AWB。かつて画素数が少なかったころには屋根に吹かれた杉板の重なった目にモアレが必ず発生しましたが、今回のα7RIVとの組み合わせでは、タムロン、シグマ、サムヤンのいずれも目立ったモアレの発生はありませんでした。それぞれの画面を拡大すると解像性能が良くわかります。

≪作例22≫ 夜の新宿ゴジラ通り、焦点距離:45mm、F2.8・1/20秒、ISO 50、AWB。 やはりゴジラにピントを合わせていますが、ゴジラ部分を画素等倍まで拡大すると、レンズの解像力の実力はわかるところです。 ISO感度設定50は、愛嬌です。(都合により下1/4はトリミングしています)

≪作例23≫ 口径食を見ました、焦点距離:45mm、F2.8・1/13秒、-1.7EV補正、ISO 50、AWB。レンズの焦点距離を考えると致し方ない口径食でしょうか。こちらもISO感度設定50は、愛嬌というかケガの功名です。
シグマの45mmF2.8DG DNは、使い方は簡単ですが、設計者の意図を汲んでレンズ特性を生かして使いこなすには難しいレンズです。今までレンズは絞り開放でどれだけシャープかなどで評価してきましたが、そうではなく、このレンズは撮影距離によって球面収差が発生しホンワリとした描写がされるというのですが、ピントはあくまでも合わせた所はシャープにというのがコンセプトなのです。
実はそのあたりに関しては、すべて撮影し終えて原稿を起こすときに初めて読んだシグマ商品企画部長の大曽根康弘さんが執筆する、同社Web情報誌SIENの「大曽根、語る」で初めて知ったことなのです。なぜ使い終えてから読んだかというと、特定の商品に先入観を持って使いたくないからで、レンズ評価も自分の撮影結果だけで、他の人のレポートは極力読まないようにしています。改めてここで取扱説明書を読んでみるとそのような光学特性には一切触れられていないのです。これはもったいないです。製品名にそのような機能を示す名称を入れ込むとか、取扱説明書に何らかの解説がないと設計者の真意が伝わらずに混乱します。私の友人のレンズグルメの達の多くは、絞り開放でどのような描写をするかですべてを判断している人が多いので、簡単にダメだしされてしまう恐れがあります。
また、近距離ソフトの描写はどんな被写体を想定したかですが、SIENの「大曽根、語る」にはテーブルの上の花が作例として出ていましたので、このあたりのテーブルフォトを狙ったのだなとわかります。今回、私のランダムに撮影した作例の中から開発意図に見合うものを探し出しましたが、お眼鏡にかなったかな?と思うのです。もともとはシグマfp用のレンズかとも思うのですが、設計時にはソニーのゾナーT*FE 35mm F2.8 ZAをかなり意識したものであったようです。このあたりは、フルサイズミラーレス後発のニコン、キヤノンにはないスペックのレンズなのです。数の上ではソニー用かもしれませんが、ニコン、キヤノン用も待ち望まれているはずですから、一層の奮起をと思うわけです。せっかくだから、ネーミング考えました「シグマ45mmF2.8DG DN nsf」なんてどうですか? 私は何も権利を主張しません、ご自由に。



●サムヤンAF35mmF2.8FEで使う
ケンコー・トキナーが発売する「SAMYANG 35mmF2.8FE」はシグマ45mmF2.8DG DNがそうであるようにソニーのゾナーT*FE 35mm F2.8 ZAをかなり意識した設計であることは間違いないようです。そのことは同じ焦点距離・開放F値でありながら、さらなる薄型のパンケーキタイプを目指したことや軽量であることなどからわかります。
≪写真6≫ ソニーα7R IVに装着。
≪写真7≫ 左から専用フード、本体、専用ケース。このレンズのおもしろいところは、フィルターがフード(40.5mmΦ)と本体(49㎜Φ)の2カ所に取り付けられることで、堅牢ながら妙に軽量な専用ケース(右端)が付属してくることです。また軽量を目指したことからでしょうが、レンズの鏡筒、フードなどはすべて樹脂製です。レンズ鏡胴のターレットが刻まれた部分がマニュアルのフォーカスリングであり、カメラに装着した状態で外観的に特に違和感あるところはありません。
サムヤンのマウント部≪写真8≫ を見てみると、マウント結合部は梨地にアルマイト加工された金属で、さらに電気接点が他社より2個多い12個となっているのです。考えるところ、たぶん余分の接点2個は独自なものでレンズのファームウェア書き換えなどに使われるものだと考えますが、この2年間でその必要性は感じたことはありません。

■いつもの英国大使館正面玄関
撮影日時はシグマと同一、撮影条件はタムロン、シグマと同じということで、絞りF5.6で屋根中央直下の大使館エンブレムにピントを合わせています。
≪作例24≫ 焦点距離35mm、F5.6・1/800秒、ISO100、AWB。全景からわかることは、画角とか色合いですが、左下がたる型に湾曲しているように見えるのは、地面がそのように曲がっているからで、お間違えのないように。画素等倍まで拡大してみると、すでにタムロンとシグマの項で述べたことですが、画素等倍で見たときには焦点距離が長くなるほどターゲットゾーンのエンブレムは大きく見え、解像力が高いように見えます。その点においてはサムヤンにおいてもかなりの高解像な像をだしていますが、やはり6,100万画素という高解像機であるα7R IVの効果によるものが大だと思いますが、基本的にはレンズ性能が大切なわけです。このレベルがどのようなものか、「ライカに始まり、ライカに終わる」にある他機種の同じ画面を見比べてもらえれば幸いです。

■ランダムな撮影
≪作例25≫ ネットの向こうは西武ドーム、焦点距離35mm、F8・1/400秒、ISO100、AWB。 手前と奥に緑色のネットが張られていますが、F8に絞られていると前後のネットにすべてピントが合っているのがわかります。ドーム屋根の質感、ネットの描写とも文句ありません。

≪作例26≫ ソクハイ・バイク、焦点距離35mm、F4.5・1/100秒、ISO100、AWB。 塗装されたバイク、荷物ケースなどの光沢感がいい感じで再現されています。撮影距離約2mぐらいでしょうか、アスファルトの路面を見ると深度がわかります。

≪作例27≫ ボケの感じを見る、焦点距離35mm:F4・1/80秒、ISO100、AWB。ピントは右端の花のつぼみに合わせてあります。画面左上を見ますと、樹木の葉の間からこぼれる背面の光の部分が球面状に見えますが、大きく伸ばすとより顕著に見えてきます。同じ場所をシグマ45mmで撮影していますが、ボケ具合がサムヤンの方が元の形状を残していますが、これはシグマとサムヤンの焦点距離10mmの違いによるところが大きいでしょうか、それともシグマのいう球面収差の影響でしょうか。

≪作例28≫ ススキの穂、焦点距離:35mm、 F2.8・1/2000秒、ISO100、AWB。 絞りF2.8と開放でススキの穂にピントを合わせました。画素等倍まで拡大しても十分解像しているのがわかります。このカットで気に入ったのは、青空の周辺がフィルムカメラで撮ったようになだらかに減光していることです。ただし、このような効果はレンズの性能によることはもちろんですが、α7R IVとの組み合わせでの描写特性であって、撮像素子の特性に依存する部分が大です。

≪作例29≫ バラの花、焦点距離:35mm、F4.5・1/1000秒、ISO100。西武園のイングリッシュガーデンに咲くバラの花ですが、左中の花の雌しべにフォーカスしましたが、ジャストピントでα7R IVのAF特性も良いということになりますが、雌しべの部分を拡大して見るとしっかりと解像し花粉粒まで見えます。同じ場面を他のレンズで比較していないのでわかりませんが、アウトフォーカスした背景の樹木の葉の間のボケはリング状を示しているので、球面収差補正の具合に関係がありそうです。ボケ描写は好みもあり判断が難しいです。

≪作例30≫ クヌギのどんぐり、焦点距離35mm:F6.3・1/200秒、ISO50、AWB。タムロン、シグマと同じ時に撮影しましたが、ISO AUTOで撮影したのに50になったのは不思議です。3種のレンズともこのようなシーンでは、十分な解像をもって質感描写されました。背景のボケ具合も良くご覧ください。

≪作例31≫ 国宝正福寺、焦点距離:35mm、F8・1/100秒、ISO 100、AWB。かつて画素数が少なかったころには屋根に吹かれた杉板の重なった目にモアレが必ず発生しましたが、今回のα7RIVとの組み合わせでは、タムロン、シグマ、サムヤンのいずれも目立ったモアレの発生はありませんでした。それぞれの画面を拡大すると解像性能が良くわかります。

≪作例32≫ 夜の新宿ゴジラ通り、焦点距離:35mm、F2.8・1/30秒、ISO 50、AWB。35mmという画角分の描写ですが、やはりゴジラにピントを合わせてあります。ゴジラを画素等倍まで拡大するとF2.8という開放絞りであるということも手伝ってか、十分解像はしているけれどわずかに柔らかいかなという印象はありますが、この差がわかるのは極端に拡大した極大プリントではないかと思うのです。(都合により下1/4はトリミングしています)

≪作例33≫ 口径食を見ました、焦点距離:35mm、F2.8・1/20秒、-1.7EV補正、ISO 50、AWB。左右ボケに口径食が見えるのは致し方ないとして、よく見ると丸のボケの周辺にわずかに輪郭がでているので、使い方によっては昨今の若い人たちが好む玉ボケ、シャボン玉ボケというような表現も可能になってくるのではと思ってしまいました。
サムヤンAF35mmF2.8FEはケンコー・トキナー取り扱いのレンズですが、製造は韓国の三洋光学(サムヤン・オプティックス)であって、ソニー用のAF交換レンズを早くから手がけていました。実はこのレンズ発売時に入手していましたが、当時は7Rと7RIIで使ってみたのですが、なんとなくなじめなくそのままでしたが、この時期元祖ソニーのゾナーT*FE35mmF2.8を規範にしたレンズとしてシグマも登場しましたので、サードパーティのAF交換レンズというくくりで、改めて比較してみました。結果はご覧の通りですが、カメラ本体が変わり画素数も増えると画質が良くなるのかと思うほど健闘しました。実際はカメラのセンサー特性、画像処理エンジン、ローパスフィルターレスの効果などによるものなのでしょうが、改めてデジタルカメラにおけるボディと交換レンズの関係を考えさせられる結果となりました。
●最新「ソニーα7R IV」とタムロン、シグマ、サムヤンのソニー用レンズ
今回はフルサイズ6,100万画素という高画素機で、ミラーレス専用に開発された3本の交換レンズを使ってみた使用記ですが、改めてクイックなAF、シャッター音の軽減、ファインダーの見えやすさなど、最新ボディの仕様には表れない進歩を十分に感じさせ、写真画質というのはレンズだけでなくカメラ本体と組み合わせて性能がでてくるのだ、というきわめて当たり前のことを再認識させられました。また6,100万という高画素も、最初はいかがなものかと考えていましたが、やはりそれだけのメリットがあり、それぞれ用意したサードパーティのレンズもすべてボディについてこれたということです。今回、過去のボディでの結果をいくつか振り返ってみましたが、明らかに最近のボディは発色もクリアで色抜けが良く、画素数分だけ解像も上がってきているのです。
タムロンの17~28mmズームは、なぜこんなに明るくて、小さく軽くて画質が良いのか?。シグマの45mmF2.8は新しい考え方のレンズですが、確かに柔らかいボケ描写だけど合焦部がシャープなことも確かなレンズです。
ところが今回のシグマ、サムヤンのレンズを付け替えながら使用中に、知人のプロ写真家がα7R IVのファインダーを室内で覗き、簡単にサムヤンがクリアでいいと言い切ってしまいました。この時点では僕もシグマSAIN「大曽根、語る」の文章を読んでなく、すでに大半の実写を終えていたので意外でしたが、プロ写真家TKさんは、しっかりとシグマ設計者が意図するところをファインダーを覗いただけで、一目で見抜いてしまったのです。やはりこのレンズは、絞り開放で近距離はソフトな描写だという特徴をしっかりとアナウンスするなり、製品名に盛り込まないとこれからも誤解は生じるでしょう。もったいない話です。そしてサムヤン、確かに開放では少しあまい所はありますが、少し絞られるとその描写はご覧の通りとなりました。結局、どれがいいかなどということでなく、みんな良く写るし、自分の好みで財布と見比べて買ったらいいというのが結論です。

ところで今回の、シグマ、サムヤンは、ソニーのゾナー35mmF2.8をかなり意識して設計したようで、それぞれの仕様を表にして比較してみました。≪表1≫を見てわかるのは、サムヤン、シグマがソニーのゾナーをスタートに何を頑張ったかよくわかります。
すでに、ミラーレスフルサイズには、ソニーに加え、ニコン、キヤノン、シグマ、パナソニック、ライカが参入しているわけですが、ソニー、シグマを別にすれば、皆、性能、大きさ・重さ、価格ともヘビーな部分を目指しているようですが、交換レンズメーカーとして当面はこのあたりに生きる道が十分にありそうです。 (^_-)-☆
