クラカメ探検隊 · 中判
zenza BRONICA S2
1. 歴史・機構・蘊蓄(エッセイ・解説)

今回は6×6判中型一眼レフカメラのブロニカS2をご紹介しましょう。
6×6判中型カメラといえばハッセルブラッド、ローライといったメーカーが主力でした。1972年にゼンザブロニカが発表したこのブロニカS2が、国産では最初の6×6判のハイクラスなカメラといえるでしょう。それ以前にゼンザブロニカから発売されていたD型(ブロニカで最初に開発されたカメラ)S型(D型を実用的に)、C型(これはS型の普及版でフィルムマガジンの交換ができないなどマイナーチェンジの機種)の長所を受け継ぎさらに作動性実用性に富んだ機種として登場します。『和製ハッセル』と呼ばれたりもしました。
特徴としてまずあげられるのがクイックリターンミラー。一般の一眼レフのミラーは跳ね上がる方式ですが、ブロニカのミラーは斜め前方に『滑降』するので、6×6判では困難とされてきた超広角レンズや、大口径レンズの使用が可能となりました。そのレンズの面でも大きな特徴を持っています。まず、シャープな切れが魅力のニッコールが使用できること。また交換式二重大型バヨネットマウントで、後のページでまた詳しく紹介しますが、内側にスクリューマウントがついているのでアダプターを介すことにより手持ちのレンズの使用も可能になります。また、120フィルムと220フィルムのマガジンが共用なのでそれぞれの専用マガジンを買う必要がありません。特に220フィルムマガジンは高価ですし、レバーの切換えのみで両方を同じように使用できるのもブロニカS2の良い点の一つでしょう。ファインダーも交換可能と互換性に優れた幅広い機能を持ったカメラです。機械シャッターなので、いつまでも使える、といった利点もあります。
→ブロニカS2とアクセサリーのページへ
- 1965年発売
- 6×6判フォーカルプレーン式一眼レフ
- クイックリターンミラー内蔵
- レンズ:ニッコールP 75mm/F2.8(交換式)、フォーカシングヘリコイド付二重大型バヨネットマウント
- シャッター:フォーカルプレーン式、B、1〜1/1000・X、シンクロX・FP接点自動切り替え
- フィルム:120・220ロールフィルム、マガジン交換式
- ファインダー:交換可能
- サイズ:H100×W100×D140mm、1780g
- ゼンザブロニカ製
2. 操作方法・メンテナンス・修理のポイント

左奥から、
- マグニファイングフードを取り付けたブロニカS2
- ニッコールP200/F4
- ニッコールH50/F3.5
- ゼンザノンMC150/F3.5
手前左から、
- ウエストレベルファインダー
- 6×6フィルムマガジン 2ケ
このほかにも様々なアクセサリーがあります。

各部の名称です。
1:ピントフード開閉ボタン、2:ピントフ-ド着脱ボタン、3:ヘリコイド、4:レンズ着脱レバー、5:シャッター、6:ヘリコイド着脱ボタン、7:フィルムカウンター、8:120/220フィルム切り替えダイヤル、9:フィルムメモリーホルダー、10:ピントルーペ、11:プレビューボタン(シャッターの逆サイドにあります)

フィルムマガジンの交換の仕方から見ていきましょう。
サイドの引蓋を本体の方に押しながらフィルムマガジンの上部を後方に倒すようにするとはずれます。


装着時はフィルムマガジンの下部の穴に本体のツメの部分をあわせてから、そのまままっすぐ本体の側にあわせてやります。カチッと音がするまでしっかり押さえて下さい。
フィルムマガジンの交換が可能なことによっていろいろなメリットがでてきます。
例えば、多くのカメラでは一旦装填されたフィルムは巻き戻してしまわないと取り出すことができず、また、途中で巻き戻してしまったものはその続きから撮影したいと思ってもなかなか難しいですが、フィルムマガジン交換可能な機種だと、つまりフィルム室ごと交換できるわけですから、あるフィルムの撮影途中でも、別のフィルムと入れ替えることができます。モノクロとカラー、ポジとネガ 、デイライト用とタングステン用、また、感度の異なったフィルムなどを必要に応じて、また経済的に使い分けることができるのです。その点で最近でてきたAPSカメラと機能的には同じです。


フィルムを装填します。
フィルムメモリーホルダー(使用フィルムのメモに使って下さい)を開け、レバーをO(OPEN)にスライドさせると後蓋が開きます。


中央のネジの部分をまんなかにむかって両サイドから押して内側の中枠を取りはずします。サイドに歯車のついている方に巻き取り用のスプールを、もう一方に120、または220ロールフィルムをセットします。この時フィルムの巻の向きに注意して下さい。

外側に裏面(黒色)がくるようにして圧板の側にまわし、巻き取りスプールにはさみ込み、フィルムのスタートマークの矢印をフィルム室の赤●にあわせます。

向きに注意しながらマガジンに戻します。(確実にセットされないと巻上げクランクと連動しません。)蓋をしっかり閉めて本体に装着しましょう。

フィルム切り替えダイヤルをボタンを押しながらあわせます。
120フィルムの場合は12に、220の場合は24にします。


フィルムカウンターに1があらわれるまで巻上げクランクをまわします(時計回り)。
(引蓋を抜いておかないと撮影できません。)


ピントフードの後ろ側にあるボタンを矢印の方にスライドさせるとファインダーが開きます。蓋の部分を少し内側に倒してやるとピントルーペが起き上がります。

ファインダーを交換する時は、正面のBRONICAのロゴの上にあるボタンをひけば簡単に取り外せ、装着は後部のツメにかけてカチッと音がするまで本体に押さえるだけです。(ウエストレベル、ペンタプリズム、TTLファインダー等の種類があります。)

絞りはレンズの周囲のダイヤルであわせます。(青▼)
シャッタースピードはサイドの大きなダイヤルであわせます。(赤▼)
シンクロ接点は1/40秒以下で同調、それ以上速くなると(例えば1/125秒)撮影に支障をきたします。

焦点はレンズの大型ヘリコイドをまわしてあわせます。


F11
レンズ左下にあるボタンはプレビューボタンで、それを押すと絞り込みが確認できます。
被写界深度を確かめる際に使用します。


シャッターをロックした状態
レンズ右下がシャッターです。バルブでの撮影の際にはシャッターをボディに押し込んでそのまま左にまわすと固定することができます。撮影時以外ではシャッターの赤い●印を横に向けるとロックすることができ、間違って無駄なシャッターを切ることがありません。
また、フィルムが装填されていない時にはシャッターは切れないようになっています。


レンズの交換を見てみましょう。このヘリコイド式大型レンズは二重構造になっており、ブロニカの大きな特徴となっています。内側の撮影レンズを取りはずす際には、外側のヘリコイドで最大に繰り出し、レンズ着脱レバーを押しながら赤●をあわせます。取り付けの際も赤●をあわせてください。もちろん専用レンズは広角、標準、望遠と各種揃っています。(写真は標準ニッコールP75mm/F2.8)

撮影レンズを外した状態

スクリューマウント部分

大型ヘリコイドも外した状態
撮影レンズをはずし、大型ヘリコイドの内側を見るとスクリューマウントになっており、ここにアダプターを介して手持ちのレンズが取り付けられます。
また超望遠レンズ、接写用べローズを使用する場合には、レンズ右上のヘリコイド着脱ボタン(赤の矢印部分)を押しながら反時計回りにまわすとヘリコイド部がはずれますので、本体に直接取り付けます。

高級機の名にふさわしいプロ仕様の1機。様々なレンズやその他アクセサリー等の交換が可能なことによって、撮影の際の選択の幅が広がります。このS2でブロニカ6×6判としてのメカニズムは完成したといっても過言ではないでしょう。ブロニカはこの後、EC型、EC-TL型、SQ型と電子シャッターを取り入れたモデルへと進みます。
最後にゼンザブロニカの社名の由来をご紹介しておきましょう。創立者の吉野善三郎(よしの ぜんざぶろう)氏が、最初のD型(8年の歳月と吉野氏の私財1億円余を開発に費やす)を発表する際に『ゼンザブロー+ブローニーフィルム+カメラ』からゼンザブロニカと命名したというなかなかユニークな語源を持ったメーカーです。
