「プラウベル69Wプロシフト」は、西ドイツのプラウベル社の超広角カメラです。 このカメラの最大の特徴は、6×9センチ判の中判カメラでありながらアオリ撮影が可能であるということでしょう。 建築写真などに不可欠なアオリの表現は、レンズの鏡胴がジャバラになった大判カメラのアオリ機構を利用して行うのが一般的ですが、カメラ自体が大きく重いので三脚なしでの撮影はほぼ不可能でした。 しかしこの69Wプロシフトは、重量1600グラムと手持ちで十分撮影可能な重さであり、グリップの形状も非常に手に馴染むように考えて作られています。ハンディなボディでありながらアオリ撮影ができるという、とても優れたカメラです。 レンズはシュナイダー製、スーパーアンギュロン47ミリF5.6のレンズが組み込まれています。マルチコーティングの4群8枚構成で、イメージサークルは123ミリです。このレンズは、35ミリ判に換算すると21ミリに相当する超広角のレンズです。 アオリ撮影はレンズボードを上方向、または左方向に移動させて行います。左方向には13ミリ、光軸の角度にして15°、上方向には15ミリ、光軸の角度で17.5°までシフトさせることができます。ボディに内蔵されているスポーツファインダーと、取付型の光学式透視ファインダーがこれに連動して動き、視野の補正を行います。 透視ファインダーにはアルバタ式ブライトフレームが入っており、近距離用の補正視野と最大アオリ時の補正視野を示しています。 フィルム巻上げはレバーによる2作動式で、二重撮影防止機構がついています。ロールフィルムホルダーはマミヤプレス用のS字型のものが取り入れられ、フィルム室部分がグリップを兼ねておりこの部分に巻上げレバーとシャッターボタンがつけられています。グリップの握り具合は非常によくできていて、アオリ撮影ができるカメラでありながら手持ちで撮影が可能というこのカメラの特徴を支える部分となっています。 シャッターボタンからケーブルレリーズで接続されているのはコパルの0番シャッターで、ストロボは全シャッター速度に同調します。 実画面寸法は56×83ミリで、120フィルムで8枚、220フィルムで16枚撮影可能です。 また、水準器も縦横両側につけられています。 シュナイダー製の超広角レンズを使用しており、またシフトアオリでレンズのイメージサークルをフルに使うためにどうしても画面の周辺光量の低下が目立ってきますが、これを解消するためにアクセサリーとして「センターフィルター」というものが用意されています。これは画面中央の明るさをセーブすることにより周辺部の明るさとバランスをとるというものです。フィルター径52ミリですが、同型のフィルターを付けてアオリを使用するとフィルタ枠でケラレが起こるので、ケラレをなくすためにフィルター径を77ミリまで広げるアダプターリングAR-1が付属しています。 それでは、使い方を見ていきましょう。 発売:1981年12月 型式:6×9センチ判広角専用カメラ レンズ:シュナイダー製スーパーアンギュロン47mm/F5.6(4群8枚構成)、イメージサークル123ミリ ピント:直進ヘリコイドによる目測式 シャッター:コパル0番レンズシャッター、B・1〜1/500秒、X接点 ファインダー:スポーツファインダー内蔵、光学式専用透視ファインダー装着可 巻き上げ:レバー式、120/220フィルム兼用 シフトアオリ:横13ミリ(光軸角度15°)、縦15ミリ(光軸角度17.5°) サイズ:205×124×132ミリ 重量:1600g
それでは、使い方を見ていきましょう。